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「めぐりあう日」

「Je vous souhaite d'être follement aimée」…aka「Looking for Her」2015 フランス
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夫と一人息子ノエと共にパリに住む理学療法士のエリザは養父母に育てられ産みの親を知らないが、養父母の了解のもと実の親を知りたい一心で調査を依頼していた。しかし匿名で出産した女性を守るための守秘義務に阻まれ実母を探しあてることができない。やがてエリザはノエを伴い自分の出生地であるダンケルクに引っ越して来る…

エリザに「華麗なるアリバイ/2007」「メゾン ある娼館の記憶/2011」「灼熱の肌/2011」「君と歩く世界/2012」「ザ・キャピタル マネーにとりつかれた男/2012」のセリーヌ・サレット。
アネットに「さすらいの女神(ディーバ)たち/2010」「晴れ、ときどきリリー/2010」「マリー・アントワネットに別れをつげて/2012」のアンヌ・ブノワ。
エリザの息子ノエに「ある過去の行方/2013」のエリエス・アギス。
エリザの夫アレックスに「あの夏の子供たち/2009」「ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー/2011」「ある朝突然、スーパースター/2012」のルイ=ド・ドゥ・ランクザン。
アネットの母親ルネに「セラフィーヌの庭/2008」のフランソワーズ・ルブラン。
監督、脚本は「冬の小鳥/2009」のウニー・ルコント。

エリザは港町ダンケルクの診療所で働き始める。ある日、背中を痛めた女性が診療所にやって来る。アネットと名のるその女性はノエが通う学校で働いていた。ノエを知るアネットは“長いまつ毛ときれいな目をしたかわいい息子さんね。”と話し始める。エリザがアネットに“お子さんはいるの?”と聞く。しかし即座に“いないわ。”と言う答えが返ってくる。そして治療を重ねる毎にエリザとアネットの間に妙な親近感が生まれ始めるのだった。

アネットがエリザに“ノエはあなたの子?”と聞く。“養子は私の方よ。”と答えるアネット。アネットが疑問に思ったのはノエの顔立ちがアラブっぽく、学校でもアラブ系の子供と親しくしていたからに他ならない。
エリザに治療を施されるアネット。ある時、アネットが“少し抱きしめて欲しいの。”と言う。戸惑いながらもアネットを抱きしめるエリザ。あの光景は漠然としながらも母と娘が抱きあうシーンにも見え感動的だった。

舞台はベルギーとの国境から10kmに位置する北フランスの港町ダンケルク。この地は第二次世界大戦における“ダンケルクの戦い”として有名な場所。
ドラマはとにかく暗い。ヒロインは全くと言って良いほど笑顔を見せない。演じるセリーヌ・サレットは憂い顔がとても似合う。

エリザとアネットが母子だとわかり、フランス人夫婦の間に生まれたノエがアラブっぽい容貌をしていることも判明する。そう、ノエはなぜアラブの顔なのか?と終始気になっていた。見るもの誰もが気になっていたことだろう。
ラスト、真実を知ったエリザがノエと共に船にいるシーンはとても清々しかった。

岩波ホールにて
by margot2005 | 2016-08-16 00:28 | Comments(0)