2016年 06月 07日
「君がくれたグッドライフ」
ALS(筋萎縮性側索硬化症)を宣告された男性が、仲間と共に自転車でベルギーを目指すロード・ムービー。
ハンネスに「ヴィンセントは海へ行きたい/2010」のフロリアン・デヴィッド・フィッツ。
キキにユリア・コーシッツ。
ミヒャエルに「THE WAVE ウェイヴ/2008」「ドッペルゲンガー 凍てつく分/2014」のユルゲン・フォーゲル。
フィンに「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」「ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~」「詩人、愛の告白/2012」のフォルカー・ブルッフ。
ドミに「ヴィンセントは海へ行きたい」のヨハネス・アルマイヤー。
マライケにヴィクトリア・マイヤー。
ザビーネに「ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~/2010」「バチカンで逢いましょう/2012」のミリアム・シュタイン。
イレーネにハンネローレ・エルスナー。
監督はクリスティアン・ツバート。
フランクフルトに住むハンネスとキキ夫婦は、仲間との毎年恒例の自転車旅行の行き先をベルギーに決めるが、仲間たちは見所のないベルギーに不満を漏らす。しかし夫婦がベルギーを選んだのには重大なる目的があった。
ハンネスとキキ、弟のフィンに友人のミヒャエル、そしてドミとマライケ夫婦が集合し自転車の旅は始まるのだった。
旅の途中ハンネスの実家に寄ることになる。夕食後、母親のイレーネも加わり、ハンネスは自らがALSに冒されていていることを告白する。実はハンネスの父親もALSで亡くなっていた。そして、その時の家族の苦労を知っているからこそ、介護を受ける前に尊厳死を選んだと宣言する。やがてフィンは呆然となって席を立ち、友人たちもショックで言葉を失ってしまう。
告白の翌朝、母親の車でベルギーへ向かうと告げる間もなく、仲間は自転車に乗って出かける準備をしていた。しかしフィンの姿が見えずハンネスは気がかりでならない。やがて追いついてくる姿を見て彼の胸に熱いものがよぎる。
旅の途中ミヒャエルが偶然出会ったザビーネを仲間に加える辺りはドイツ人(ヨーロッパ人)らしい。さすがに最終目的地までは行かなかったけど...。
ベネディクト・カンバーバッチの「僕が星になるまえに/2010」と、フランス映画「母の身終い/2012」を合わせたかのようなドラマは、見終わってやはり“尊厳死”について考えさせられた。
「母の身終い」は尊厳死を問う辛口ドラマだったが、本作は和やかなシーンが多く描かれている。あのように愛する人に囲まれて死んで行く人は幸せに違いない。
最後の、最後に“こんなことには耐えられない!”と言う妻のキキ。そして尊厳死を選んだハンネスの“自分はまだ36歳なのに…”という台詞が胸に迫る。
テーマは重くて苦しいが、バックに流れる音楽が賑やかで、仲間がふざけるシーンもいっぱいあって悲しいドラマがちょっと和らぐようにも思えた。
ハンネスを演じたフロリアン・デヴィッド・フィッツはwowowで見た「ヴィンセントは海へ行きたい」でも病気の役だった。精神的な病ではあったが…その時にちょっと気になったドイツ人俳優。
ミヒャエル役のユルゲン・フォーゲルがいいな。
ヒューマントラストシネマズ有楽町にて