2016年 04月 27日
「ハロルドが笑うその日まで」
ハロルドはノルウェーの街で妻と共に40年以上も家具店を経営してきた誇り高き家具職人。ある日、店の隣に世界的家具チェーン店IKEYAの、それも北欧最大店舗がオープンする。案の定IKEYAの出店によりハロルドの店は閉店に追い込まれてしまう…
ハロルドに「ヘンゼル&グレーテル/2013」のビョルン・スンクェスト。
イングヴァル・カンプラードに「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女/2009」のビヨーン・グラナート。
エバにファンニ・ケッテル。
監督、脚本はグンナル・ヴィケネ。
世界的家具チェーン店IKEYAのせいでつぶれてしまったハロルドの店。店に並ぶ家具はIKEYAのように手頃な値段のものではなく職人の魂が込められた家具ばかり。おまけに認知症だった妻はあっと言う間に亡くなってしまう。失うものはもう何もないと感じたハロルドは店に火をつけ焼身自殺を図るがスプリンクラーのせいで失敗に終わってしまう。
もう破れかぶれで頭にきた誇り高い家具職人ハロルドはIKEAの創業者イングヴァル・カンプラード誘拐を思いつきスウェーデンへと向かう。途中しばらく会ってなかった息子の家に寄るが全く歓迎されず、再びスウェーデンへとおんぼろ車サーブを走らせる。そしてスウェーデンで一風変わった孤独な少女エバと出会う。
偶然出会ったエバはカンプラード誘拐に手を貸すというが、ハロルドの計画性のなさに呆れるばかり。なんとか拉致できたカンプラードも頑固オヤジで“誰も金は出さない!”の一点張り。
IKEYAの創業者イングヴァル・カンプラードについて調べてみたら、本作で演じる俳優がスゴく似ていて驚いた。現在でも経営の主導権を握っているカンプラードを題材にしてこのような映画を作るなんてと思っていたら、映画のチラシに“存命するIKEYA創業者が実名で描かれる前代未聞の映画。”と書かれていた。やっぱり!
エバとの出会いがエバにもハロルドにも生き方を変えたように思える。カンプラードはちっとも変わっていないように思えたけど...ドラマはちょと笑えて、ちょっとハートウォーミング。
北欧の映画を観ていていつも思うのは言語。本作でもノルウェーとスウェーデンが舞台となるが、二つの国の人々は違和感なく普通に話しているのでもちろん互いに理解しているのだろう。
そしてもう一つ北欧の映画を観ていて思うのは、とてもシリアスなものか、なんか可笑しいドラマかどちらかのような気がする。特にノルウェー映画に多い気がする。本作はなんか可笑しい方の部類でハロルド役の俳優がいいな。
そういえば「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」もノルウェー映画だった。
恵比寿ガーデンシネマにて