「ディーバンの闘い」

「Dheepan」2015 フランス
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内戦が続くスリランカ。妻子を殺された元兵士のディーパンはもはや戦う意味がなかった。一方で一人の女が難民キャンプで子連れの女性に“この子はあなたの子?”と訪ね回っている。とうとう母親のいない女の子を見つけだした後、女はディーパンと出会う。独り身より家族の方が難民として受け入れてもらえることがわかり、ディーパン、妻ヤリニ、娘イラヤルと偽装家族を作り上げた3人はスリランカを脱出しフランスへと向かう...

ディーパンにアントニーターサン・ジェスターサン。
ヤリニにカレアスワリ・スリニバサン。
イラヤルにカラウタヤニ・ヴィナシタンビ。
フラヒムに「ナルコ/2004」「愛について、ある土曜日の面会室/2009」「ルノワール 陽だまりの裸婦/2012」「ムード・インディゴ うたかたの日々/2013」のヴァンサン・ロティエ。
監督、脚本は「真夜中のピアニスト/2005」「予言者(アンプロフェット)/2009」「君と歩く世界/2012」のジャック・オーディアール。

スリランカの内戦についてはほとんど知らない。オープニングの難民キャンプはアフリカのどこか?と思うほど悲惨。偽装家族でフランスに入国し、難民審査にもパスした3人はパリ郊外で暮すことになり、ディーパンは団地の管理人の職を得る。やがてイラヤルも学校へ通い始め、ヤリニも団地の住人である老人の家政婦として働き始める。偽りの家族にも一時平和が訪れたように思えた矢先事件が起こる。ヤリニが家政婦をする老人の部屋は団地の麻薬密売組織のリーダーである甥フラヒムが事務所として使っていたのだ。

麻薬密売組織のアジトとなるパリ郊外の団地に多数の若者が集まってくる。暴力がはびこるこの場所で白昼堂々と銃をぶっ放し争いが勃発する。戦地から逃げてフランスへやって来たというのに、又しても争いに巻き込まれるなんてヤリニには決して耐えられない。以前から彼女は親戚のいる英国に行きたいと願っていた。祖国スリランカでのディーパンは誰もが知る屈強な兵士。しかし彼は既に銃を捨ててフランスで新しい生活に溶け込もうと日々努力している。偽の妻であるヤリニともなんとか上手くやってきた。そんな折、平和に暮らせると思っていたフランスで、それもディーパンの目の前で麻薬密売組織の抗争が勃発したのだ。
闘いを捨てた男がとうとう怒りを爆発させる。怒りに怒ったディーパンはやむなく銃を手に取る。がむしゃらに闘うディーパンの怒りはほんとスゴかった!まるでヤクザの闘いのようなシーンに唖然とする。

偽夫婦のディーパンとヤリニの間に恋愛感情は全くない。実際のヤリニは独身でまだまだ若い。ちょっとオシャレをして老人の部屋で出会う異国人のフラヒムにほのかな恋心を見せるヤリニの姿が可愛い。
フランス人俳優ヴァンサン・ロティエは冷血漢フラヒムを怪演している。この俳優は優しい顔立ちなので、相反してますます凄みが伝わってくる。
ほとんど演技の経験がないという3人のスリランカ人にびっくり。見ていてとてもリアルでドキュメンタリーのようにも映るのはそのせいかも知れない。
英国でのラストに救われる。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2016-03-09 00:01 | フランス | Trackback(5) | Comments(0)
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