2015年 11月 26日
「1001グラムハカリしれない愛のこと」
ノルウェーの国立計量研究所に勤める女性化学者マリエは、あらゆる計測のエキスパート。ある日、心臓発作で倒れた父親の代わりにパリで行われる国際セミナーに参加し、パイと言う名前のフランス人科学者と出会う…
マリエにアーネ・ダール・トルプ。
パイに「幸せになるための恋のレシピ/2007」のロラン・ストケル。
マリエの父親アーンスト・アーンストにスタイン・ヴィンゲ。
マリエの同僚ヴェンケに「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」のヒルデグン・リーセ。
監督、製作、脚本は「キッチン・ストーリー/2003」「ホルテンさんのはじめての冒険/2007」「クリスマスのその夜に/2010」のベント・ハーメル。
ひと味違った映画を作るベント・ハーメル。「キッチン・ストーリー」での“独身男性の台所での行動パターン調査”も可笑しかったが、こちらは物を計る基準となる“キログラム原器”が主人公と言うのが実にユニーク。
「クリスマスのその夜に」はそれほどでもなかったが「ホルテンさんのはじめての冒険」はかなりのハートウォーミング・コメディ。本作は何もかも壊れてしまい、途方にくれるヒロインが国際セミナーで出会った心優しいフランス人化学者と明るい未来を取り戻すラヴ・ストーリーと言った趣。
マリエが計量研究所に勤めるだけあって、少々無機質ではあるが計算し尽くされた趣の彼女の家の家具が完璧なまでに美しい。でも結婚生活ではパイロットの夫とは離婚寸前。人間誰しも全てにおいて完璧にはなれないといったところ。
マリエを演じるアーネ・ダール・トルプはノルウェーでは有名な女優だそう。今回彼女の映画を初めて見た。少々冷たいイメージを感じる淡々とした雰囲気がドラマのヒロインにぴったり。
それぞれの国に“キログラム原器”なるものが存在し、パリにある“国際キログラム原器”は“1キログラムの母”と形容され金庫の中に厳重に保管されている。国際セミナーで1キログラムの新しい定義をめぐって議論が交わされるシーンはなんとなく滑稽だった。
原タイトルの“1001グラム”...亡くなった父親の遺灰の重さとはやはりひと味違ったベント・ハーメルの世界?
バスルームで交わされる“15.5でしょ?いや18.0かな?”といったあのサイズが意味深。
ヒロインの乗るノルウェーの電気自動車“buddy”が超かわいい。
Bunkamura ル・シネマにて