2015年 08月 14日
「ベルファスト71」
“ストリートの先は「戦場」だった…”
ゲイリー・フックに「ヒットマン レクイエム/2012」「300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~/2014」のジャック・オコンネル。
MRFの軍曹レスリー・ルイスに「パッション/2012」「おみおくりの作法/2013」のポール・アンダーソン。
MRFの将校サンディ・ブラウニングに「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族 シリーズ/2011~2013」「プロメテウス/2012」のショーン・ハリス。
アーミテージ中尉に「レイルウェイ 運命の旅路/2013」のサム・リード。
元軍医のエーモンにリチャード・ドーマー。
エーモンの娘ブリジッドに「あなたを抱きしめる日まで/2013」のチャーリー・マーフィー。
IRA暫定派メンバーのポール・ハガティに「シャドー・ダンサー/2012」のマーティン・マッキャン。
同じくクインにキリアン・スコット。
同じくショーンにバリー・キーガン。
IRAのベテラン兵士ボイルに「シャドー・ダンサー」「アンナ・カレーニナ/2012」のデヴィッド・ウィルモット
監督はヤン・ドマンジュ。
シアターで予告を見ていなかったら見過ごしていたかも知れないサバイバル・アクション映画で、架空の物語ながら途方もなくリアルなドラマでもある。
たった一人で戦場と化した適地に置き去りにされた若き英国軍二等兵ゲイリーは生きて故郷ダービシャーに帰れるのだろうか?
1971年、ゲイリーは幼い弟にしばしの別れを告げ、過酷な訓練を積んだ後、紛争が激化する北アイルランド・ベルファストに送り込まれる。
今その地はアイルランドの統一を目指すカトリック系住民と、英国との連合維持を望むプロテスタント系住民との間の緊張がピークに達する勢いとなっていた。やがて街の治安維持を目的にパトロールを開始したアーミテージ中尉の部隊はあっという間に暴動に巻き込まれてしまう。民衆と部隊の揉み合いでカオス(無秩序)となった街で、武器を盗まれたゲイリーは自分の銃を取り戻すため奔走する。しかしその間に部隊は退散してしまい、ゲイリーはたった一人敵陣の中に取り残されてしまう。
兵士の安否を気遣いもしない将校を始めとして、怪我を負ったゲイリーを助けるエーモン親子や、母親に内緒で過激なグループに身を投じる若者ショーン...弟思いの心優しい青年ゲイリーと彼らの人間模様も織り込まれている。
ゲイリーとブリジッドの間で“デヴィッド・ボウイは好き?”と言う会話が交わされ時代を感じる。
英国軍二等兵ゲイリーの苦悩に満ちたサバイバル・ドラマは中々見応えがあった。
IRA問題を描いた映画はたくさんある。記憶に残るのはニール・ジョーダンの「クライング・ゲーム/1992」、ジム・シェリダンの「父の祈りを/1993」、同じくジム・シェリダンの「マイケル・コリンズ/1996」、そして「麦の穂をゆらす風/2005」や「シャドー・ダンサー/2012」。それぞれに見応えのある作品ばかり。そして本作はとてもリアルに描いてありかなり衝撃的。
主演のジャック・オコンネルは英国とアイルランドのハーフだそう。ちょっとキュートなジャックの今後に期待したい。
新宿 武蔵野館にて