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「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」

「Locke」2013 UK/USA
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“この道の先に果たすべき約束がある…”

アイヴァン・ロックに「ロックンローラ/2008」「裏切りのサーカス/2011」「ダークナイト ライジング/2012」「チャイルド44 森に消えた子供たち/2014」のトム・ハーディ。
ベッサンに「思秋期/2010」「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙/2011」「私が愛した大統領/2012」のオリヴィア・コールマン。
カトリーナに「アンナ・カレーニナ/2012」「ウォルト・ディズニーの約束/2013」のルース・ウイルソン。
ドナルに「SHERLOCK(シャーロック)/2010~2014」「ジミー、野を駆ける伝説/2014」「パレードへようこそ/2014」のアンドリュー・スコット。
ガレスに「ジャックと天空の巨人/2013」のベン・ダニエルズ。
エディに「インポッシブル/2012」のトム・ホランド。
ショーンに「ブロークン/2012」のビル・ミルナー。
監督、脚本は「堕天使のパスポート/2002:脚本」「イースタン・プロミス/2007:脚本」「ハミングバード/2012」「マダム・マロリーと魔法のスパイス/2014:脚本」のスティーヴン・ナイト。

見たい、見たいと思いながら中々見に行けなくて、公開以来1ヶ月以上たってしまったがやっと見ることができた。
原タイトルは主人公の名前。
アイヴァン・ロックは愛する妻カトリーナと二人の息子と幸せな日々を送っている。ヨーロッパ最大級となる建設プロジェクトの現場監督であるアイヴァンは着工を翌日に控え、今夜は家族と共に過ごす予定だった。サッカーを見ながら…。しかし一本の電話が彼の人生を狂わせる。

今、旬の俳優トム・ハーディが素晴らしくて少々感動してしまった。
ドラマはトム・ハーディの一人芝居。ベッサンとカトリーナ役に声だけ出演のオリヴィア・コールマンやルース・ウイルソン...ぴったりの配役で顔が浮かびそうだった。
そもそもスティーヴン・ナイトは脚本家出身で、初めて監督作はジェイソン・ステーサム主演の「ハミングバード」。それは中々素敵な映画だった。そして本作は前作とは全く趣が違うワンシチュエーション・ドラマ。
病院で一人ぽっちで不安極まりない妊婦のベッサン。アイヴァンの妻であるカトリーナと二人の息子。アイヴァンの上司ガレスと彼の部下のドナル...夜のハイウエイをロンドンに向けて走るBMWの中で電話でのやり取りだけで成り立つドラマは素晴らしく斬新。
今迄見たトム・ハーディ映画のキャラクターは個性的なものが殆ど。しかし本作は普通の働き盛りの男役。それがとても素敵に似合ってスゴく良かった。

時折アイヴァンの独白も挟み込まれる。それは全て彼の父親に向けられたもので、父親との間にかなりの確執があったように映る。だからアイヴァンは生まれてくる子供の父親になることを正しいことと判断しそれにしがみついたのかも知れない。
しかしロンドン出張中にワインを飲み過ぎたせいで43歳の女性と関係を持ってしまった代償はあまりにも大きかった。
ベッサンはアイヴァンに“愛している!”と訴えるが、彼は“愛していない。”と返すのだ。でも、でも彼女の元へ駆けつけようとしている。一方で妻には“愛している!”“帰るところは君のいる家だ。”と主張する。これって男のわがままだろうか?
過去に一度だけの関係と言い訳する夫に、一度だけじゃないわよね?と迫り、本当にあなたの子なの?と再び迫る妻の気持ちが良く理解できてズシンとくる。

IMBbの“No turning back/後戻りできない”というTaglineがナイス。
TOMATOMETERは91%。

ちょっとネタばれ…
アイヴァンが頑なまでにこだわった“生まれてくる子供の父親になるという、男としてすべき正しいこと”。しかしたった一度の過ちを妻は許してくれなかった。やるせないラストが胸を打つ。


恵比寿ガーデンシネマにて
by margot2005 | 2015-07-30 21:21 | Comments(0)