「パリよ、永遠に」

「Diplomatie」…aka「Diplomacy」2014 フランス/ドイツ
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1944年8月25日深夜、ナチス・ドイツ占領下のパリ。ヒトラーにパリ破壊を命じられた男と、パリを守りたい男の駆け引きが始まる…

スウェーデン総領事ラウル・ノルドリンクに「あるいは裏切りという名の犬/2004」「アガサ・クリスティーの奥様は名探偵/2005」「ミックマック/2009」「風にそよぐ草/2009」「美女と野獣/2014」「愛して飲んで歌って/2014」のアンドレ・デュソリエ。
ディートリヒ・フォン・コルティッツ将軍に「潜水服は蝶の夢を見る/2007」「フェアウェル/哀しみのスパイ/2009」「サラの鍵/2010」「戦火の馬/2011」のニエル・アレストリュプ。

ハウプトマン・ヴェルナー・エーベルナッハに「白いリボン/2009」「ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~/2010」「23年の沈黙/2010」「コッホ先生と僕らの革命/2011」ブルクハルト・クラウスナー。

監督、脚本は「ブリキの太鼓/1979」「スワンの恋/1983」「シャトーブリアンからの手紙/2011」のフォルカー・シュレンドルフ。

「シャトーブリアンからの手紙」を観ていたので公開されたら是非観たいと思っていた一作。
事実を元に描いた密室ドラマは素晴らしかった。二人の俳優も適役だ。

破壊予定の場所を標したパリの地図を広げるコルティッツ将軍…
建物はエッフェル、オペラ、エトワール、ルーヴル、アンバリッド、ノートルダムetc.
駅舎はオルセー(この当時はまだ駅舎)、北、東、リヨン、サン・ラザールetc.
そして橋はポンヌフを除いた33カ所。
今や世界中からの観光客が集まるスポットばかりを破壊しようとしたアドルフ・ヒトラー。ヒトラーはパリが大好きで愛人を伴って二度訪れていたそう。特にオペラ座がお気に入りだったとか。しかしベルリンを破壊されパリに仕返しをしようと目論む。

“パリを破壊せよ!”との命令を受けたドイツ軍パリ防衛司令官コルティッツ将軍。その命令文には“背けば妻子を殺害する!”と明記してあった。ヒトラーに逆らうことなどできないコルティッツはパリ破壊への準備を着々と進めて行く。
そんな折、スウェーデン総領事であるラウル・ノルドリンクが将軍の駐留するホテル、ル・ムーリスにやって来る。中立国であるスウェーデン人外交官ノルドリンクはパリ生まれのパリ育ち。パリを守りたい一心でコルティッツを説得し始める。
“命令に背けば妻子が殺される!”と訴えるコルティッツ。そこでノルドリンクは妻子を中立国であるスイスに行けるよう手配すると約束する。
コルティッツ将軍の部下や、ホテルの従業員が行き交う中二人の交渉は決裂するかに見えたが、コルティッツも最後の最後には折れ破壊作戦中止を宣言する。ノルドリンクの交渉、そして説得によりパリは守られたのだ。

舞台となる超高級ホテル、ル・ムーリスはリヴォリ道りに沿いに建ち窓からチュイルリー庭園が見渡せる超高級ホテル。パリに行った時チュイルリー庭園から何度も目にしているがホテルに足を踏み入れたことは一度もない。ホテルはルーヴルの近くにあり、ドラマの中でも語られるようにここはかつてナポレオン3世が愛人ミス・ハワードと熱い一時を過ごした場所らしい。

ルーヴルがもし破壊されていたら…なんて考えられない。そしてヒトラーはモナリザも狙っていた様子。
そびえるノートルダム寺院には左右上下数カ所に爆弾をしかけ、セーヌ川沿いに立つエッフェルには魚雷を仕掛けたとドラマで語られるシーンに唖然とする。

でも映画を観た後ふと思ったのは、パリを破壊するにあたって“市民を巻き込んでは行けない!”と主張するノルドリンク。結果パリ破壊は免れたが、この後もまだ戦争は続き、1945年2月、連合軍がドイツの美しい街ドレスデンを爆撃した際は大勢の市民が犠牲になったと言う事実を忘れてはならない。
ルネ・クレマンの「パリは燃えているか/1966」という有名な映画がある。1944年8月7日~25日までのパリ解放までを描いたドラマ。本作もパリ解放でエンディングを迎える。俄然「パリは燃えているか」が見たくなった。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて

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by margot2005 | 2015-03-13 23:09 | フランス | Trackback(7) | Comments(3)
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Tracked from 勝手に映画評 at 2015-03-15 21:38
タイトル : パリよ、永遠に / Diplomatie
第二次世界大戦における、ナチス・ドイツによる「パリ破壊作戦」を巡る駆け引きを描いた作品。 描かれているのは、まさに連合軍のパリ進駐前夜の1944年8月24日深夜から8月25日にかけてのたった一日。ですが見ていると、もっと長く感じました。元々が戯曲であったためか、...... more
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Tracked from 象のロケット at 2015-03-17 13:57
タイトル : パリよ、永遠に
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Tracked from ここなつ映画レビュー at 2015-03-23 12:47
タイトル : 「パリよ、永遠に」
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Tracked from ふじき78の死屍累々映画日記 at 2015-04-12 21:02
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タイトル : パリよ、永遠に
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Tracked from いやいやえん at 2015-10-17 07:50
タイトル : パリよ、永遠に
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Commented by pretty-bacchus at 2015-03-19 00:27
先月25日に、<あまたの歴史の積まれた巴里をどうぞお守りください>というブログで
ルネ・クレマンが監督の『パリは燃えているか』のことを書いたばかりでした。

どうしても見たくなり今日行って観てきました。
素晴らしい映画でしたね。『パリは燃えているか、とは全く違う方法で戦争とパリが語られていましたね。脚本が素晴らしい! 
このブログを後ほどご紹介させていただきながら、今日のことを綴って置きたいと思っています。
ご紹介をありがとうございました。

Commented by margot2005 at 2015-03-20 23:06
pretty-bacchusさん、こんばんは。
ほんと素晴らしい映画でしたね。
さて、そちらでマイブログを紹介していただいてありがとうございます。

「パリは燃えているか」が見たくて調べたのですが、今はまだDVDになっていないようで、4月にDVD化されるようです。DVDになったら是非レンタルして見るつもりです。
Commented at 2015-03-30 19:14 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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