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「おみおくりの作法」

「Still Life」2013 UK/イタリア
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ジョン・メイは孤独死した人々の葬儀をアレンジするロンドンの民生委員。今日もたった一人で亡くなった人のもとへ駆けつける…

ジョン・メイに「アリス・クリードの失踪/2009」「ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-/2010」「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!/2013」のエディ・マーサン。
ケリーに「ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館/2010~2013」「フィリス/2013」のジョアンヌ・フロガット。
メアリーにカレン・ドルーリー。
プラチェット氏にアンドリュー・バカン。
監督/脚本/製作は「フル・モンティ/1997(製作)」「ベラミ 愛を弄ぶ男/2012
(製作)」
のウベルト・パゾリーニ。

ジョンの職場の事務室の机上には備品が整然と並び、家の机も全く同じように整頓されている。食卓には毎晩同じ食材…かん詰め(肉?)とパンに紅茶…が用意され、酒も飲まない。真面目で律儀なジョンの性格を現しているようで面白いが、孤独な男の一人暮らしに強烈なる哀愁が漂う。

ジョンは仕事と言いながらも全く知らない人々の葬儀に執念を燃やすがごとく取り組む。それが原因で上司プラチェット氏に解雇されるわけだが…。
彼の最後の仕事となったのはビリー・ストークの葬儀。はからずもビリーはジョンと同じアパートの住人だった。しかしジョンは孤独死したビリーに会ったこともない。いつも道り遺品の中から故人と縁戚関係にあるものを見つようと部屋をあさり始める。そしてその中からビリーとの関係を示す幼い少女の写真を見つける。やがてそれを手掛かりに海辺の町に赴き、ビリーが働いていたパン屋や、フィッシュ&チップスの店を経営するメアリーを訪ねた後、ロンドンへ戻り、飲んだくれだったビリーを思い出しホームレスに会いに行き、とうとう写真の少女ケリーにたどり着く。

動物を心から愛する穏やかで優しいケリーと出会ったことでジョンの心は少々ときめいたように思える。なぜならば、ジョンはケリーとの再会を約束した後、ショップで彼女の好きな犬の絵柄のティー・カップを買い求めたりするのだから…。
あのラストはちょっと驚きだったが、心優しいジョンを讃える大ラスに癒される。
そして、テーマは少々暗いが、ちょっとした場面にユーモラスなシーンをはさみ紺んで、見終わってほんわかとした気分になる素敵な作品だった。

巷で評判なのか平日にも関わらずシアターが混んでいて驚いた。
エディ・マーサンの飄々とした風貌が役柄にぴたりとハマる。
ケリー役のジョアンヌ・フロガットに初めてお目にかかったのはジェームズ・マカヴォイの「フィリス」。その後「ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館」シリーズのメイド長アンナを見た。この方静かで心優しい女性がスゴく似合う女優。本作のケリー役もナイスなキャスティング。

シネスイッチ銀座にて
Commented by rose_chocolat at 2015-02-10 07:28 x
これは混んでますよねー。
現在3館でしか上映がなく、順次公開だそうです。
地味ですけどいい作品でした。
最後よかったですよね。あれは泣けます。
Commented by margot2005 at 2015-02-10 23:06
rose_chocolatさん、こちらにもコメントありがとう。
この映画は是非全国展開して欲しいですね。
世界中でこれより重大なる課題となるのがこの映画のテーマであると感じます。
Commented by セレンディピティ at 2015-03-26 10:58 x
こんにちは。
実は見た時には今ひとつぴんとこなかったので
どうしてこの映画がこんなに人気なんだろう??と思いましたが
今の時代を反映しているのかもしれませんね。

きまじめで誠実なジョン・メイを、飄々と演じるエディ・マーサンがよかったですね。
最初は心を閉ざしていたケリーが葬儀に来てくれる...と知った時に
わずかに見せたうれしそうな、ほっとしたような笑顔が心に残っています。
Commented by margot2005 at 2015-03-29 20:56
セレンディピティ さん、こんばんは。

この映画は
>今の時代を反映しているのかもしれませんね。
同感ですね。

ケリーとジョンの未来が見たかったです。実に...でもあのまま二人の未来を描いたのでは短絡的過ぎてつまらなかったかも知れません。
シアターが満員だったのを思い出します。
by margot2005 | 2015-02-05 22:32 | Comments(4)