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「ジミー、野を駆ける伝説」

「Jimmy's Hall」2014 UK/アイルランド/フランス
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1932年、アイルランド。元活動家のジミー・グラルトンはニューヨークから10年ぶりに祖国に戻る。出迎えたのは彼の友人モッシー。母親の住む家へと向かう道廃墟と化した“Jimmy's Hall”を見つける。それはジミー自らが建てたホールだった...

ジミー・グラルトンにバリー・ウォード。
ウーナにシモーヌ・カービー。
シェリダン神父に「縞模様のパジャマの少年/2008」「恋人たちのパレード/2011」のジム・ノートン。
シーマス神父にアンドリュー・スコット。
モッシーに「レイヤー・ケーキ/2004」のフランシス・マギー。
市長オキーフにブライアン・オバーン。
オキーフの娘マリーにアシュリン・フランシオーシ。
ジミーの母親アリスにアイリーン・ヘンリー。
監督は「天使の分け前/2012」のケン・ローチ。

国を分断した悲劇的な内戦が終結してから10年後、ジミーはリートリム州の故郷に帰ってきた。再会した昔の恋人ウーナも今では人妻で二人の子供の母親でもある。やがてこの地でかつて絶大なる信頼を得、リーダーだったジミーの元へ村人たちが集まってくる。彼らはジミーにホールの再建を訴える。年老いた母親と二人で静かな生活を送ろうとしているジミーを村人たちは放っておいてくれない。彼らの熱意に負け、重い腰を持ち上げたジミーはホールの再建に立ち上がり、再びリーダーとなる。

ジミーはアメリカから持ち帰ったレコード・プレイヤーで新しい音楽ジャズとダンスを披露する。それらは若者を熱狂させたが、村の支配者たちは眉をひそめ始める。そしてとうとう教会や市長らがジミーに圧力をかけてくる。

ラスト、ジミーの乗るトラックを追いかける若き村人たちの姿が爽やかで印象的。ジミーってきっと彼らにとってカリスマ的な人気者だったに違いない。
誰もいないホールで、バック・ミュージックなしにダンスするジミーとウーナ...ウーナはジミーがニューヨークで買ってきたドレスを身につけ...あのシーンはとても素敵だった。

アイルランドからアメリカへ国外追放(強制送還)されたジミーは、元々移民としてアメリカに渡っている。1945年、59歳でニューヨークで亡くなったジミー(ジェイムズ・グラルトン)は追放以降祖国の地を踏むことはなかったという。

「麦の穂をゆらす風/2005」は1920年が舞台で、本作はそれから10年後のアイルランドの農村を描いている。
原タイトルの「Jimmy's Hall」でI.R.A.を背景に描いたダニエル・デイ・ルイスの「ボクサー/1997」を思い出す。この“Hall”は体育館兼カルチャー・センターといったところ。“Hall”に集う人々は歌を歌いダンスを楽しむのだ。一方で絵画や詩といった趣味の講座や、子供たちにボクシングを教えたりする場もある。

ケン・ローチ映画にはメジャーな俳優は登場しない。今まで見た中では「麦の穂をゆらす風」のキリアン・マーフィーくらい。本作の主人公も初めてお目にかかったアイルランド人俳優のバリー・ウォード。穏やかな風貌ながら、ここぞという時に闘志を燃やす青年ジミー役が似合っている。そしてこの方中々素敵だ。
ケン・ローチならではの静かな感動を与える佳作。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2015-01-31 23:48 | UK | Trackback(8) | Comments(4)
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バリー・ウォード、なかなかよかったですね。
ケン・ローチが起用する俳優って、どこか陰があって、でも一筋縄じゃいかない信念の持ち主のような気がします。
Commented by margot2005 at 2015-02-10 23:02
rose_chocolatさん、こんばんは。
バリー・ウォード素敵ですね。彼の次作品が楽しみです。
ケン・ローチ映画の主人公は皆一癖ありそうで、いつもナイス・キャスティングだと感じます。
Commented by セレンディピティ at 2015-02-13 07:43 x
こちらにも失礼します。
ケン・ローチ監督の優しさがあふれているすてきな作品でしたね。
バリー・フォード、ちょっとジェームズ・マカヴォイにも似ているような?と思いましたが
すてきな俳優さんでした。
Commented by margot2005 at 2015-02-16 19:37
こちらにもコメントありがとう。

ケン・ローチ映画にはいつもスゴい優しさがあふれていると思います。本作もそうでした。

ジェームズ・マカヴォイですか?彼はちょっと少年ぽいイメージがありますよね?バリー・フォードの大人な魅力は素敵です。
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