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「毛皮のヴィーナス」

「La Vénus à la fourrure」…aka「Venus in Fur」2013 フランス/ポーランド
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ドラマは舞台演出家のトマが新しい舞台劇のために女優をオーディションするところから始まる。会場にうーんと遅れてやって来た無名の女優ワンダ。トマは追い返そうとするがワンダは決して帰ろうとしない。あきらめ境地のトマは仕方なしにオーディションを始める。トマを相手に台詞を語り始めるワンダ。やがてトマはワンダの演技に魅せられて行く...

ワンダ・ジュルダンに「フレンチなしあわせのみつけ方/2004」「エディット・ピアフ~愛の讃歌~/2007」「潜水服は蝶の夢を見る/2007」「危険なプロット/2012」「母の身終い/2012」のエマニュエル・セニエ。
トマ・ノヴァチェクに「グランド・ブタペスト・ホテル/2013」のマチュー・アマルリック。
監督、脚本は「おとなのけんか/2011」「ゴーストライター/2011」のロマン・ポランスキー。

原作“毛皮のヴィーナス”を書いたレオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホとは“マゾヒズム”の語源となった人物らしい。
本作はブロードウェイで大ヒットした二人芝居“毛皮のヴィーナス”をモチーフに作られている。そういえば監督の「おとなのけんか」も舞台劇だった。でも本作の出演者はエマニュエル・セニエ&マチュー・アマルリックの二人だけ。二人の延々と続くやりとり(台詞)の間にトマの恋人からかかる電話や、ワンダがかける電話の話に中断されるが、その他は全く二人だけの世界。その延々と続く台詞は舞台劇での台詞…いつも思うのは、あのような膨大な言葉(台詞)を俳優はどのようにして記憶するのか!?ということ。もうただただ感心の一言。一つのシーンだけで構成されるドラマなのだが、何日かけて撮影したのか?妙に知りたくなる。とにかく二人の俳優が素晴らしい!

エンドクレジットが始まると、パリのルーヴルやオルセー、そしてフィレンツェのウッフィツィなどにある巨匠の描いた“ヴィーナス”の絵画が登場する…ボッティチェッリ、ティツィアーノ、ドラクロワ、アレクサンドル・カバネルetc.で、ラストはやはり“ミロのヴィーナス”だった。

マチューの大ファン。本作の予告はシアターで何度も見ている。ちょっと興味深い作品かな?と思って楽しみにしていた一作。期待どうりの素晴らしいドラマだった。エマニュエル・セニエは昨今脇役ばかりで…本作でヒロインを演じる彼女も文句無しに素晴らしい。40代後半のエマニュエルが実に妖艶で驚く。

ハリソン・フォード主演のロマン・ポランスキー監督作品「フランティック/1988」にヒロインで監督夫人のエマニュエル・セニエが出演していたのを思い出す。パリが舞台のあのサスペンスはトレ・ビアン!だった。同じくポランスキー作品でエマニュエルがヒロインの「赤い航路/1992」もかなり前に見た作品なので今一度見てみたい。
マチュー映画は今週末公開されるベニチオ・デル・トロ共演の「ジョルジュ 心の欠片を探して/2013」が楽しみ。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
by margot2005 | 2015-01-10 00:07 | Comments(0)