「6才のボクが、大人になるまで」

「Boyhood」2014 USA
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テキサスの田舎町に住むメイソンは、シングル・マザーのオリヴィアと、姉サマンサの三人暮らし。ある時、オリヴィアは自身のキャリアアップのため再び大学で学ぶ決心をし母親の住むヒューストンへと住まいを移す。そこへ訪ねて来たのは離婚した元夫のメイソン。離婚しても彼は子供を思う優しい父親だった…

オリヴィアに「救命士/1999」「デブラ・ウィンガーを探して/2002」のパトリシア・アークエット。
メイソンにエラー・コルトレーン。
サマンサにローレライ・リンクレイター。
メイソンの父親に「その土曜日、7時58分/2007」「ニューヨーク、アイラヴユー/2008」「クロッシング/2009」「ビフォア・ミッドナイト/2013」のイーサン・ホーク。
オリヴィアの二度目の夫ビルにマルコ・ペレラ。
オリヴィアの三番目の夫テッドにスティーヴン・チェスター・プリンス。
監督/製作/脚本は「スクール・オブ・ロック/2003」「バーニー/みんなが愛した殺人者/2011」「ビフォア・ミッドナイト/2013」のリチャード・リンクレイター。

こちらもお子様主演映画ながら、シアターで何度も予告を見て少々気になっていた一作。一人の少年の6歳から18歳迄の12年間の成長記録とでもいうのかスゴくユニークな手法が素晴らしく良かった。
とにかくパトリシア・アークエットが懐かしくて、懐かしくて…彼女の映画を見たのは「デブラ・ウィンガーを探して」以来。

メイソンが大学へと旅立つ時母オリヴィアは“次の行事は私の葬式ね!”と叫ぶように宣う。あの台詞がたまらない。子育てが終了した母親のその後って何もないに等しいのかも知れない。でも息子は言い返す“後40年は生きるよ!”と…。自らの経験からオリヴィアと息子のやりとりは胸にズシンと来た。息子が家から出て行くのって母親にとって今生の別れのように感じる。オリヴィアはどうしようもない疎外感を感じていたに違いない。でも離婚を繰り返す母親に育てられながらもメイソンは実に良い子に育ったものだと感心しきりだった。

メイソン演じるエラー・コルトレーン…6歳の幼い少年から18歳の大学生迄、数年に渡り何度か撮影した様子。幼い頃に両親の離婚を経験し、その後母親の結婚によりステップ・ファーザーとなった男はアル中で、暴力を振るうろくでなし。母親の三番目の夫もふがいない男で、その男と別れ、二度と結婚しなそうな母親を見てメイソンはきっと胸をなでおろしたに違いない。

メイソン中心に描かれるが、母親オリヴィアと父親メイソンの変化を見るのも面白い。彼の姉サマンサも…。
オリヴィアは大学教授という職を持ち自立しているはずなのに男がいないとダメな女性。子供たちの父親であるメイソンの後に2回結婚し、二人ともどうしようもないダメ男ばかり。マジで男運の悪い女性かと気の毒になる。しかしながらオリヴィアの結婚相手の選び方がワンパターンで、自分が学んだ大学の教授と、自分が教えた大学の教え子だなんて...。

父親メイソンの存在。メイソンとオリヴィアがどうして別れたのか定かではないが、この父親が実に子供たちを大事にするのだ。父と子の絆をしっかりとつなぎ止めるように。オリヴィアには子育て放棄だと罵られても、子供には良い父親であり続ける姿が好感を持てる。少々いいとこどりって感じでもあるけど。演じるイーサン・ホークがぴったりの配役で素晴らしい。パトリシア・アークエットも素晴らしかった。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2014-12-14 20:40 | MINI THEATER | Trackback(11) | Comments(4)
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Commented by セレンディピティ at 2014-12-27 18:36 x
こんにちは。
この作品には、ただただ圧倒されました。
過去にもどって撮り直しするわけにいかないし、いったいどんな風に作っていったんだろう...
特に思春期の難しい時期を、よく乗り越えて撮ることができたな...
キャストとスタッフ、全員が心をひとつにあわせて作り上げた奇跡の作品ですね。

メイソンの成長物語ですが、オリヴィアの視点で見ていました。
それなりに複雑な家庭環境の中、二人ともいい子に育ってくれたなあ...と。
お父さんの子どもとの関わり方もすてきでしたね。
Commented by margot2005 at 2014-12-29 23:40
セレンディピティさん、いつもコメントありがとうございます。

さてホント圧倒される素晴らしい!作品でした。

>過去にもどって撮り直しするわけにいかないし、いったいどんな風に作っていったんだろう..
そうですね。私もそう思いました。あのメイソン役のエラー・コルトレーンがぐれて変な?子になっていたら収拾つかなかったでしょうね?
とても良い子に育っていたかと思いますね。一安心です。
Commented by Bianca at 2015-05-23 19:49 x
margotさん
オリヴィアが、
「男なしでは生きて行けない」「選び方がワンパターン」
に賛成です。もう少し、失敗を反省してよりかしこく生きて行くってことが出来ないのか、と思いますが、しかしこういう人も結構いるのかも知れませんね。まあ子供から見たら、多かれ少なかれ、親とはこう見えるのかも……。
Commented by margot2005 at 2015-05-23 20:21
Biancaさん、コメントありがとうございます。

>「男なしでは生きて行けない」「選び方がワンパターン」...
こういった女性ておっしゃる通り結構いるかも?ですね?考えられませんが...。

子供は親(ここでは母親)の身持ちに意義を唱えることはできませんから、犠牲者になっても仕方がないのかも知れません。
でもドラマの子供たちはめげずに良い子で驚きです。
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