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「母の身終い」

「 Quelques heures de printemps」…aka「A Few Hours of Spring」2012 フランス
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アランは48歳の長距離トラック運転手。ある時麻薬密売に関わり服役し、出所後母親の家に身をよせる。しかし几帳面な母親と、だらしのない息子との間に争いは絶えなかった...

アランに「ガスパール/君と過ごした季節(とき)/1990」「すべて彼女のために/2008」「君を想って海をゆく/2009」のヴァンサン・ランドン。
イヴェットに「トリコロール/青の愛/1993」のエレーヌ・ヴァンサン。
クレメンスに「フレンチなしあわせのみつけ方/2004」「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜/2007」「潜水服は蝶の夢を見る/2007」「危険なプロット/2012」のエマニュエル・セニエ。
監督、脚本は「愛されるために、ここにいる/2005」のステファヌ・ブリゼ。
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ステファヌ・ブリゼの「愛されるために、ここにいる」はとても素敵なヒューマン・ドラマだった。こちらは尊厳死を問う辛口ドラマ。
スイスで迎える母のラスト。“愛してるお母さん!”と母を抱きしめる息子の姿が胸を打つ。エンディングが始まり、ただただ呆然となった。

映画のwebに“愛する人の究極の選択をあなたはどう受け止めますか?”とある。
脳腫瘍に冒された母親が尊厳死を選ぶことを知った息子は動揺するが、それを選んだ母親と初めて向き合い心を通わせ始める重厚なヒューマン・ドラマは素晴らしかった。
ドラマの母親ほどの年ではないが、立場的には母親サイドなので、彼女のように尊厳死に挑めるかどうか自信がない。これは正に究極の選択である。
邦題はかなり単刀直入ながら、原タイトルは“春の数時間”…それは母と息子が過ごす数時間でとても意味深い。

息子は母親の着るエプロンのような洋服が滑稽に見え“そんな変な服を着るな!”と言ったり、“暇ならジグソー・パズル(母の最大の趣味)でもやっていろ!”なんて吐き捨てながら母親に殴り掛かろうとするのだ。信じられないけど“早く死ね!”なんてことまで言っていた。

48歳の息子が母親と暮らす心境って?反対に出所したばかりの48歳の息子と暮らす母親の心境って?一言で言い表せば互いに“ツライ!”意外の何ものでもない。
ドラマの中から二人の心境がひしひしと伝わってくる。

ヴァンサン・ランドンは惨めでどうしようもない中年男を好演している。
母親役のエレーヌ・ヴァンサンについては良く知らないが、死を目の当たりにして、情けない息子が気がかりの母親を全身で表現していて素晴らしい。母親にとっては何歳になろうが息子(子供)は息子なのだから。

アランは毎日が母親との葛藤の中でボーリング場でシングルマザーのクレメンスと出会う。急接近する二人だが刑務所帰りのアランは自身のことを打ち明ける事が出来ない。とにかく情けないのだこの男は…。でもラストで二人の未来が見える展開に一安心した。

シネスイッチ銀座にて
Commented by rose_chocolat at 2014-01-05 23:18 x
実の母と息子、意外と難しいものあります。
特に両方ともしっかりとしていると尚更です。
最後まで何となく心が通じ切ってなかったのが切なかったですね。
Commented by margot2005 at 2014-01-07 23:21
rose_chocolatさん、こんばんは。

そう息子と母親の関係って難しいですね。身をもって感じてます。
本作の親子関係はかなり冷えてましたねぇ。ホント強烈でした。あのような親子関係もあるのかと驚きましたが...家はそうではないので母として幸せです。
by margot2005 | 2013-12-28 23:34 | Comments(2)