「楽園からの旅人」

「Il villaggio di cartone」…「The Cardboard Village」2011 イタリア
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老司祭に「そして、デブノーの森へ/2004」「ミュンヘン/2005」「宮廷画家ゴヤは見た/2006」「神々と男たち/2010」のミッシェル・ロンズデール。
教会堂管理人に「ブレード・ランナー/1982」のルトガー・ハウアー。
保安委員に「題名のない子守唄/2006」のアレッサンドロ・アベル。
医者にマッシモ・デ・フランコヴィッチ。
監督、脚本は「木靴の樹/1978」「明日へのチケット/2005」「ポー川のひかり/2006」のエルマンノ・オルミ。

半世紀の間市民が集ってきた教会に取り壊し命令が下される。そして今その教会の老司祭は、キリスト像が撤去され、聖堂内部のあらゆる装飾が無惨にも取り払われる場面に直面し、すべて持ち去られた聖堂にたたずみ途方に暮れている。慣れ親しんだ教会を離れどこへ行こうというのか?自室のベッドに身を横たえ、この後の暮らしを模索する。そんな時、アフリカからの不法入国者の家族が助けを求めてやって来る。司祭は教会を提供し彼らを匿う。やがて不法入国者は次から次へとやって来て、その中には妊婦やけが人、そしてテロリストのグループまでいた。

ずいぶんと前に観てレビューを書くのを忘れていた一作。観た映画は記録しているがやはり抜けているものがある。
これぞ岩波ホール作品!
エルマンノ・オルミは宗教色が濃いが、本作はテロリストにも手を差し伸べる老いた司祭が主人公。主演のミッシェル・ロンズデールは「神々と男たち」の修道士を彷彿とさせ素晴らしい。

邦題はなんとも美しい“楽園からの旅人”となっているが、原タイトルは“段ボールの村”。教会で寝泊まりするようになった人々が、互いのプライバシーを保つため段ボールで囲いを作る。まるで村のように…段ボールには“見せかけだけの/名ばかりの...”という意味もある。

映画の全てのシーンは教会内部。外部は一切映らない。
不法入国者が潜伏していると知った警察は教会へ乗り込んで来る。しかし司祭は”教会は全ての人に開かれている”と言って追い返す。
ドラマは、けが人が回復し、妊婦が子供を産み落とすエピソードを織り交ぜながら淡々と進み、それぞれの不法入国者がそれぞれの目的地に旅立つところで終了する。87分と短いながら、なんと神々しい映画だろうと感嘆する。

映画のチラシに…
“むかしむかし 
世界はすばらしい庭のようだった。
樹々は果実を実らせ、花には密があふれ 
大地の豊かな恵みは、心を幸せに満たし 
見るものはすべて美しかった。
そして今、
私たちは何処にいるのか。
何処へゆこうと
しているのか。
イタリア世界的巨匠
エルマンノ・オルミ監督が
ある街の聖堂を舞台に描いた
危機の時代に贈る、現代の黙示録。”
とある。
地球温暖化を始めとして暮らしにくい世の中に警鐘を鳴らしているのかも知れない。

不法入国者を演じる人々はプロの俳優ではないそうだ。
オランダ出身のルトガー・ハウアーの出演に驚き。「コンフェッション/2002」や「バットマンビギンズ/2005」を思い出すが、何といってもこの俳優はリドリー・スコットが作ったSF大作の「ブレード・ランナー」のレプリカント役だろう。主演のハリソン・フォード同様深く印象に残っている。

神保町 岩波ホールにて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2013-10-22 23:41 | イタリア | Trackback | Comments(0)
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