2013年 02月 25日
「よりよき人生」
学食の料理人であるヤンの夢は自身のフランス料理店を持つこと。ある日、シェフとして雇ってもらうため面接に行ったレストランで門前払いを受けるが、そこで美しい女性ナディアと出会う...
ナディアの息子スリマンにスリマン・ケタビ。
カウンセラーに「ヴェルサイユの子/2008」「わたしたちの宣戦布告/2011」のブリジット・シィ。
監督、脚本は「チャーリーとパパの飛行機/2005」のセドリック・カーン。
またまた似たような邦題がつけられていると思ったけど原タイトルも同じ。
オフィシャル・サイトに“東京国際映画祭で上映され拍手喝采を浴びた…”なんて記載されてるが、地味なフランス映画は人気がないのか、サービス・ディにも関わらず最終回は、小さい方のシアターに半分以下の入りだった。鑑賞時隣のシアターで「テッド」を上映していたから、皆そちらに流れたのかも知れない。
私的にフランス映画大好き!そして主演のギョーム・カネの大ファンなので必ず観たいと思っていた一作。
このような情けない役柄のギョームは初めてながら、どうしようもないシチュエイションに陥った男を熱演している。
里親に育てられたヤンと移民で子持ちのナディアが運命的に出会う。共に貧乏で孤独で、二人が結ばれるのに時間はかからなかった。
ある日、ナディアと彼女の息子スリマンの三人でピクニックに行った湖畔で廃墟同然の建物を見つける。ここは素敵なレストランになると直感したヤンは早速不動産屋に連絡。ヤンの早急な行動に戸惑いを覚えながらもナディアは既にヤンに夢中だった。
頭金がないため数社の消費者金融から金を借りて契約にこぎつけ、とうとう建物はヤンとナディアのものとなる。二人は建物を改築し設備も整えレストラン開業に向かって期待に胸を弾ませる。しかし資金の少なさから店の設備に手を抜いたため、消防署から営業の認可がおりない事態に陥ってしまう。
このあたりから二人は気の毒この上ない。累積債務に陥ったヤンがカウンセラーに相談するが“店を売りなさい!”と言われるばかり。そしてあろうことかナディアとの間にも亀裂が生じ大げんかしてしまう。
どんなに大きな愛があっても金がなければ暮らせない。やがてナディアは好条件で働ける職場を求めカナダへ行ってしまう。息子スリマンをヤンに預けて…
スゴく、スゴくやるせなくて、辛くて身につまされるストーリーながら明るい未来につながるラストにほっとした。ヤンとスリマンがスノーバイクで雪(氷)の上を走るシーンが目に焼き付く。
セザール賞(有望女優賞/2010)に輝くレイラ・ベクティが素敵だ。
新宿武蔵野館にて(3月上旬まで上映予定)