「アルバート氏の人生」

「Albert Nobbs」 2011UK/アイルランド/フランス/USA
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19世紀、アイルランドを舞台に女性でありながら男性として生きたアルバート・ノッブスの人生を描いたヒューマン・ドラマ。

出演(アルバート・ノッブス)/共同製作、脚本に「いつか眠りにつく前に/2007」のグレン・クローズ。
ヘレン・ドウズに「ディファイアンス/2008」「アメリア 永遠の翼/2009」「キッズ・オールライト/2010」「ジェーン・エア/2011」のミア・ワシコウスカ。
ジョー・マキンスに「幻影師アイゼンハイム/2006」「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ/2009」のアーロン・ジョンソン。
ヒューバート・ペイジに「キャリントン/1995」のジャネット・マクティア。
ベイカー夫人に「恋のロンドン狂騒曲/2010」のポーリーン・コリンズ。
ホロラン医師に「イン・マイ・カントリー/2004」「プルートで朝食を/2005」「グリーン・ゾーン/2010」「推理作家ポー 最期の5日間/2012」のブレンダン・グリーソン。
ヤレル子爵に「マッチポイント/2005」「M:i:III/2006」「奇跡のシンフォニー/2007」「パリより愛をこめて/2010」のジョナサン・リス・マイヤーズ。
ヒューバートの妻キャスリーンに「トリスタンとイゾルデ/2006」「新しい人生のはじめかた/2008」「シャーロック・ホームズ/2009」のブロナー・ギャラガー。
監督は「パッセンジャーズ/2008」「愛する人/2009」のロドリゴ・ガルシア。
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グレン・クローズといえばマイケル・ダグラスの「危険な関係/1988」での強烈なるストーカー女や、ジェフ・ブリッジスの「白と黒のナイフ/1985」で、容疑者を愛してしまった女弁護人役が印象的。ロビン・ウイリアムズの「ガープの世界/1982」から始まってロバート・レッドフォードの「ナチュラル/1984」、ジェレミー・アイアンズの「運命の逆転/1990」メル・ギブソンの「ハムレット/1990」etc.と並べたらきりがない。「ミーティング・ヴィーナス/1991」「彼女を見ればわかること/1999」「美しい人/2005」なんかも良かったな。とにかくグレン・クローズは20世紀の名女優の一人。
本作でオスカー主演女優賞にノミネートされたが、残念なことに受賞したのはメリル・ストリープだった。
いずれにしろアルバート・ノッブス役は完璧。グレン・クローズには強くてコワくてキレそうな女のイメージがつきまとうが、これでそれは払拭された感じ。男性の格好をしているせいなのか?意外にも小さく見える。

19世紀の英国を描いた小説はかなり読んでいる。こちらはアイルランドが舞台だがまぁほぼ同じシチュエイションかと思える。裕福でない女性が働いて金を得るにはかなりキツい世の中だったはず。で、アルバートは男になりすまして人生を送ることになる。長年働き貯まった金で小さなタバコ・ショップを経営することが彼女の夢だった。かなりの額の金がたまり、目を付けておいた不動産にも手付けを払い目標は目の前にあった。しかしながらある出来事によって彼女の夢は断たれてしまう。あのような結末になるなんて知らなかったので、アルバートのラストはあまりにも哀しかった。

女を捨て男になったアルバート。それは生きるためだった。長年男として生きてきた人間はやはり女性が好きになるのだろうか?映画でアルバートがレズビアンであるとかいったいきさつは説明されない。でもレズビアンのヒューバート・ペイジに出会い、彼女の生き方にいたく感動し、ヒューバートの妻キャロライン亡き後は一緒に暮らそうと迫ったりもしている。そしてメイドのヘレンに夢中になる辺りも意味深だ。ヘレンを利用してアルバートから金を巻き上げようと図るジョーのずる賢さに唸る。

アルバートとヒューバートがドレスを着込んでビーチを走るシーンがある。二人とも日頃着慣れている男性の衣装が身に付いているのか、ドレスを着ているにも関わらず男っぽい走り方だったのが可笑しかったのを思い出す。

ラスト、恋人に捨てられ一人で子供を育てているヘレンに“君の面倒は見る。”と宣うヒューバートが実にナイスだった。

グレン・クローズとジャネット・マクティアはもちろんのこと、ヘレン役のミア・ワシコウスカ、新米ボイラーマンのジョーを演じるアーロン・ジョンソンを始めとして、ドクター役のブレンダン・グリーソンにベーカー夫人のポーリーン・コリンズ。そして出番は少ないながら、貴族を演じたジョナサン・リス・マイヤーズやキャスリーン役のブロナー・ギャラガーなど誰もかれも素晴らしい配役。
ヒューバートを演じるジャネット・マクティアの男ぶりには度肝を抜かれる。女性が演じているのは解っていたが、かなり男っぽい。

TOHOシネマズ・日比谷シャンテにて
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by margot2005 | 2013-01-30 23:57 | UK | Trackback(8) | Comments(2)
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Commented by pupu55560 at 2013-02-01 03:34
はじめまして。
この時代に女性が夢をかなえることは本当に難しかったのでしょうね。
切なさと、最後には苦々しさも感じてしまうけれど、夢を目前に空想するアルバートの穏やかな微笑が心に残ります。
瞬間でも良い時間を過ごせたと思えることが救いでした。
初めてで恐縮ですがTBさせてください。
これからもお邪魔させていただきたいので、よろしければお気に入りに登録させてくださいませ。
(ちなみにTBはライブドアの記事からさせていただきました。
ややこしくて申し訳ありません。)
Commented by margot2005 at 2013-02-03 22:31
pupu55560 さん、こんばんは。
コメントありがとうござます。
お気に入り登録までしていただいて感謝であります。

英国舞台の翻訳小説は大好きなので、この時代のものも良く読みます。あの時代に生きるアルバートを始めとして、ヒューバート、ヘレン、ジョーの生き様がとても興味深かったです。
ほんとアルバートのラストの穏やかな微笑みに救われた気がしました。
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