「菖蒲」

「Tatarak」…aka「Sweet Rush」 2009 ポーランド
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マルタは医者の夫と共にポーランドの小さな町に暮している。第二次世界大戦中のワルシャワ蜂起で二人の息子を亡くした後、夫婦の間には溝が出来ていた...

監督は「カティンの森/2007」のアンジェイ・ワイダ。
マルタ/女優にクリスティナ・ヤンダ。
ボグシに「トスカーナの休日/2007」のパヴェウ・シャイダ。
マルタの夫に「カティンの森」のヤン・エングレルト。
マルタの女ともだちにヤドヴィガ・ヤンコフスカ・チェシラク。
ボグシのガールフレンド、ハリンカにユリア・ピェトルハ。
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アンジェイ・ワイダが“菖蒲”のメガホンを撮る監督として出演している。
美青年役のパヴェウ・シャイダは映画を観ている間、どこかで見た、見たと感じていたが思い出せず、映画が終わった途端思い出した。彼はダイアン・レインの「トスカーナの休日」に出演していたポーランド移民の男の子。コネチカッタ生まれのパヴェウ・シャイダはアメリカンだが、映画で英語の台詞は聞いたことがない。
そして残念なことにクリスティナ・ヤンダの映画は観たことがない。彼女の夫エドワード・クロシンスキーはポーランドの著名なる撮影カメラマンで、ジュリー・デルピーの「トリコロール/白の愛/1994」や「ショパン 愛と哀しみの旋律/2002」といった作品を撮影している。この方はアンジェイ・ワイダの盟友だそう。

映画「菖蒲」のストーリーの合間に、ヒロイン、マルタを演じる女優クリスティナ・ヤンダの独白シーンが織り込まれる。
ヤンダの夫エドワード・クロシンスキーがガンに冒され余命幾ばくもない。病気と闘った末、死を迎える夫について個人的な心情を語る独白のシーンを挟みながらマルタの日常が描かれる。一方で映画のヒロイン、マルタは病魔に冒され余命幾ばくもないという設定。
クリスティナ・ヤンダの夫の病気と死、そして映画の中のマルタの重い病気が重なり合い、ストーリーは苦しいことこの上ない。

ある夜、マルタは若くてハンサムな青年ボグシと出会う。医者の妻であるマルタは町で尊敬される女性だった。ボグシはマルタを敬愛し、マルタは若いボグシに惹かれてしまう。その後、湖で会う約束をした二人。マルタはボグシが現れないことに不満を抱く。そうこうするうち姿が見えたが、彼はガールフレンドのハリンカと一緒だった。嫉妬心を覚えたマルタは逃げ出そうとするがボグシに見つかってしまう。
映画のタイトル“菖蒲”がここに登場する。ボグシは湖に自生する“菖蒲”をマルタの為に取りに行く。しかし深みにはまり溺れてしまう…ここでも死が描かれる。

“死”がテーマの映画だけに見終わってなんとも言えない気分になった。マルタの夫は妻が余命幾ばくもないことを本人に固くななまでに隠していたが、マルタはそれを知っていたに違いないと感じた。
マルタは亡くなった息子たちの部屋をそのままにして、誰をもその部屋に入ることを禁じた。亡くなった息子の代わりにボグシを愛したかったのかも知れない。その気持ちスゴく理解できる。

神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2012-11-18 23:02 | スペイン | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 黄昏のシネマハウス at 2015-04-06 16:14
タイトル : 菖蒲 ~ 生と死のすれ違い (2013/1/27)
ポーランド映画の巨匠、アンジェイ・ワイダ監督の最新作。 “尼僧ヨアンナ”の原作者イヴァシュキェヴィチによる短篇小説「菖蒲」の映画化です。 ドラマ自体は、きわめてシンプル・・・ 小さな町医者の妻マルタは不治の病に侵され、この夏を越すことさえ難しい状況。 しかし、彼女は自分の病気を知らされぬまま、ふと同じ街に住む若い青年ボグシと知り合い親しくなる。 ある日ふたりで、いっしょに聖霊降臨祭の飾りに使う菖蒲を取ろうと川へ向かう。 ところが、そこで菖蒲を取りに川に入ったボグシが、突然、溺れ沈ん...... more
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