2012年 11月 06日
「危険なメソッド」
“許されない愛。測れない心。”...若きユングと、彼の患者であり、後に愛人となったザビーナ。そして偉大なる心理学者フロイトとユングの出会いと決別。史実に基づく人間ドラマ。
ザビーナ・シュピールラインに「恋と愛の測り方/2011」のキーラ・ナイトレイ。
ジークムント・フロイトに「アラトリステ/2006」「ザ・ロード/2009」のヴィゴ・モーテンセン。
カール・グスタフ・ユングに「エージェント・マロリー/2011」のマイケル・ファスベンダー。
エマ・ユングにサラ・ガドン。
オットー・グロスに「オーシャンズ13/2007」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2/2008」「ブラック・スワン/20101」のヴァンサン・カッセル。
監督は「イグジステンズ/1999」「ヒストリー・オブ・バイオレンス/2005」「イースタン・プロミス/2007」のデヴィッド・クローネンバーグ。
原作戯曲、脚本に「つぐない/2007」「わたしの可愛い人-シェリ/2009」のクリストファー・ハンプトン。
原作が戯曲であるということに納得。
3人の俳優が喋りまくる…で、ユングの台詞が一番多い。ユングを演じるお気に入り俳優のマイケル・ファスベンダー。眉間にシワをよせパイプをくゆらせながら渋い顔の連発。
キーラも精神に異常をきたしたザ ビーナを全身で演じている。
そしてヴィゴ・モーテンセンも同様。ヴィゴはほんと存在感ある俳優だ。「マーラー 君に捧げるアダージョ/2010」もフロイトが絡むストーリーで、演じるオーストリア人俳優カール・マルコヴィクも適役だったけど、本作のフロイト役も中々のもの。
カール・ユングってリッチな妻がいて、愛人がいてとても恵まれた生涯を送った人ではなかったかと推察する。妻は夫をこよなく愛し、金で用意出来るものならなんでも与え、生涯愛人の存在にも理解を示した。
映画では描かれてないがユングの妻エマも精神科医だったそう。一時期、長い期間自ら精神分裂症(統合失調症)を病んでいたというユングを支えたのは妻のエマ?それとも愛人?
かなり前のことだが芥川賞作家で精神科医でもあった北杜夫のエッセイに“精神科医は大概皆変だ!”なんて書いてあったのを思い出した。ユングは一時期精神に異常をきたしたし…来る日も、来る日も分析(アナライズ)していたら頭がおかしくなっても不思議ではない気もする。
フロイトとユングが語る場面は良く分からなかった。二人の会話の中に性的(sexual)という言葉が頻繁に登場する。精神的疾患は性に由来する(関係がある)といった表現もあった。なんでもかんでも性に結びつける彼らのセオリーにはちょっとついて行けなかったな。
とにもかくにも俳優陣が頑張っているのだ。主演はカール・ユング役のマイケル・ファスベンダーかと思えるが、エンドクレジットはザビーナ役のキーラ・ナイトレイから始まり、フロイトのヴィゴ・モーテンセン、そしてユング役のマイケル・ファスベンダーと続く。
時代物好きなので、ザビーナとユングの禁断のラヴ・ストーリーとして観て満足した感じ。
本作の予告はシアターで繰り返し観ている。予告の冒頭ユングが妻エマを実験台にテストするシーン…“離婚”に対してエマは“ノー!”と答える。エマはユングと築いた家庭を決して失いたくなかったのだ。ユングはザ ビーナに対して“妻は家の土台だ”と話し、生涯愛人を持ち続けることはやめなかった。まぁ家の土台がしっかりしているから浮気に励めたのかも知れない。やはりユングはなんと恵まれた男であったことよ!と感嘆しないではいられない。演じるFASSYも上手い。
時代物もSFも似合うFASSYの次回作はリドリー・スコットの「The Counselor」。下、ロンドンでの撮影ショット。ブラッド・ピットが共演者なので日本でも必ず公開されるだろう。
ヴィゴ・モーテンセンが気になったのはグイネス・パルトロウの「ダイヤルM/1998」。若い愛人を演じていて、若く見えたがあの時既に40歳。この方には熱狂的なファンがいるようで、本作を観た後もヴィゴを話題にしている女性がいた。
ヴィゴ・モーテンセンの「善き人/2008」はシアターに観に行けなくて今で観れていない。
ヴァンサン・カッセルの出番が少なくて寂しい。
TOHOシネマズ日比谷シャンテにて
でも映画の内容は「偉大な心理学者ユングは愛人とSMごっこして楽しみましたとさ」だから作品賞は無理かw。
そうキーラの形相はスゴかったですね。
偉大な心理学者ユングがスーパー級に女好きなことを知りました。