「ぼくたちのムッシュ・ラザール」

「Monsieur Lazhar」カナダ 2011
a0051234_2347429.jpg

バシール・ラザールに「いのちの戦場 ーアルジェリア1959ー/2007」のモハメッド・フェラグ。
アリスにソフィー・ネリッセ。
シモンにエミリアン・ネロン。
ラザールの同僚クレールにブリジット・プパール。
ヴィアンクール校長にダニエル・プルール。
監督、脚本はフィリップ・ファラルドー。
a0051234_23492159.jpg

a0051234_23525385.jpg

a0051234_2349811.jpg

a0051234_23485785.jpg

カナダ、モントリオール。ある冬の朝、シモンは牛乳当番のため早めに学校へやって来る。そしてシモンたちの教室で首を吊っている担任の女性教師マルティーヌを発見する。やがてシモンを探しに来たアリスもその衝撃的な現場を見ることになる。
マルティーヌが担当していた生徒たちは衝撃を受ける。学校側は彼らの心のケアと共に後任の教師を探し始める。ある日、ヴィアンクール校長の元へ一人の中年男性が訪ねて来る。ラザールと名乗る彼はアルジェリア系移民。校長は教えた経験があると言うラザールを代理教師として採用する...

子供たちには難解なバルザックの古典小説を教材に使ったり、古い文法用語を使い、教えるラザール。最初は不信感を抱く子供たちだったが、アルジェリアから来た温和で、優しい彼に惹かれるのに時間はかからなかった。特に聡明なアリスはラザールに出会いアルジェリアという国に興味を抱くようになる。
ラスト、ラザールが学校を去る時にアリスを抱きしめるシーンは素晴らしく素敵でジーンときた。
とても聡明なアリスを演じた時まだ10歳だったというソフィー・ネリッセが本当に素晴らしい。この少女大人になったらスゴく魅力的な女性になるんじゃないかと想像出来る。
心にわだかまりと、悲しみを抱えたシモン役のエミリアン・ネロンも名演技である。ソフィー・ネリッセとエミリアン・ネロンがカナダ・アカデミー賞に輝いたというのも頷ける。

悲惨なマルティーヌの姿を一番に発見したシモンは彼女の死に対して知らんぷりを決め込んでいる。一方でアリスは大好きだったマルティーヌの死を受け入れることが出来ず、彼女の最後の姿が頭から離れない。だからシモンの気持ちが理解出来ないのだ。しかしそうではない。シモンはマルティーヌの死が自分に関係あるのでは?と悩み動揺を隠せなくて、逆に彼女の死に対して気にしていないフリをしていたのだ。

マルティーヌはアリスやシモンたちを教えていた教室で自殺をしている。その後、その部屋は壁を塗り替えただけ。ラザールがヴィアンクール校長に“なぜ同じ部屋を使っている?”と質問するが、返って来た言葉は“他に部屋がないから…”の一言。これは少々キツいのではないか?同じ部屋では生徒たちの記憶が消えるはずもない。特にシモンとアリスにとっては…。
ラザールはアルジェリア内戦で“愛する人の死”を体験していた。彼も又それを乗り越えられないでいたのだ。でもラザールはシモンやアリスとの出会いにより“愛する人の死”を乗り越えたに違いない。
移民のラザールは免許もないのに教師に成りすまし、学校では教えないことを子供たちに教え、諭し、彼らに慕われたのはナイスな展開だった。

主演のバシール・ラザールを演じるアルジェリア出身のモハメッド・フェラグがほのぼのとした雰囲気で心暖まる。

シネスイッチ銀座にて
[PR]
by margot2005 | 2012-08-13 00:09 | MINI THEATER | Trackback(7) | Comments(2)
トラックバックURL : http://margot2005.exblog.jp/tb/15957887
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from 佐藤秀の徒然幻視録 at 2012-08-14 22:02
タイトル : ぼくたちのムッシュ・ラザール
公式サイト。Monsieur Lazhar。カナダ映画。エヴリン・ド・ラ・シュヌリエール原作、フィリップ・ファラルドー監督、フェラグ、ソフィー・ネリッセ、エミリアン・ネロン、ダニエル・プ ...... more
Tracked from だらだら無気力ブログ! at 2012-08-16 01:34
タイトル : ぼくたちのムッシュ・ラザール
ラストシーンが印象的だった。... more
Tracked from 〜青いそよ風が吹く街角〜 at 2012-08-18 00:14
タイトル : *『ぼくたちのムッシュ・ラザール』* ※ネタバレ有
2011年:カナダ映画、フィリップ・ファラルドー監督、フェラグ、ソフィー・ネリッセ、エミリアン・ネロン出演。... more
Tracked from 読書と映画とガーデニング at 2012-08-18 14:16
タイトル : 映画・ぼくたちのムッシュ・ラザール
2011年 カナダ 原題 Monsieur Lazhar モントリオールの小学校 冬の朝、クラスの牛乳当番だったシモン(エミリアン・ネロン)は皆より早く校舎に入り牛乳の入ったカゴを手に教室に入ろうとするが中から鍵がかかっている 中を覗いたシモンが見たのは首を攣った...... more
Tracked from 映画通信シネマッシモ☆映.. at 2012-08-30 23:50
タイトル : ぼくたちのムッシュ・ラザール
教育現場の本音と建前をシビアに描くと同時に不思議なあたたかさを漂わせるカナダ映画「ぼくたちのムッシュ・ラザール」。ラザール先生役のフェラグもいいが、子役たちがとてもい ...... more
Tracked from 三毛猫《sannkene.. at 2012-10-23 12:29
タイトル : 「ぼくたちのムッシュ・ラザール」
きれいな学校で先生が死にました。 水曜日の夜に。... more
Tracked from 楽天売れ筋お買い物ランキング at 2016-07-09 03:14
タイトル : 「ぼくたちのムッシュ・ラザール」(2011年、...
「ぼくたちのムッシュ・ラザール」(MonsieurLazhar)は、2011年公開のカナダのヒューマン・ドラマ映画です。エヴリン・ドゥ・ラ・シェネリエールの戯曲を原作に、フィリップ・ファラルド...... more
Commented by sannkeneko at 2012-10-23 12:43 x
子役のふたりの演技は秀逸でしたね。

>返って来た言葉は“他に部屋がないから…”の一言。
教室で死ぬ教師の行為も子どもたちへの暴力と同じようなものですよね。
こういう無神経さに敏感に反応するラザールに会えて子どもたちは救われたように思います。
地味な作品ですが温かい思いにさせられました。
Commented by margot2005 at 2012-11-03 20:02
sannkenekoさん、書き込みありがとうございます。レスが遅くて申し訳ありません。

子役の二人は演技賞に輝いただけあって素晴らしかったです。
ラザールは彼なりのやり方で子供を癒していたように思えます。
>地味な作品ですが温かい思いにさせられました...
同感です!
<< 「The Lady アウンサン... 「ローマ法王の休日 」 >>