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イタリア映画祭2012...「七つの慈しみ」

「Sette opere di misericordia」…aka「Seven Acts of Mercy」2011 イタリア/ルーマニア
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上映前、兄弟監督のジャンルカ&マッシミリアーノ・デ・セリオが登壇し、ガンに冒された祖父が言葉を発することができなくなったことにヒントを得たと語った。ドラマの中で会話は圧倒的に少ない。老人アントニオはそもそも話せないのだから…。

舞台は北イタリア、トリノ。モルドバ(ウクライナとルーマニアに挟まれた小国)からやって来た不法移民のルミニツァは食べるものにも困るほどの貧窮生活を強いられている。日々、病院に忍び込み入院患者の金や物品はもちろん食べ物まで盗んでいる。彼女には何がなんでも身分証明者を手に入れねばならないという使命がある。そして死んだ女性の身分証明者を取得し、成り代わるために赤ん坊を誘拐することになる。赤ん坊を匿う家を探していたルミニツァは、末期ガンの老人アントニオに目をつける。一時退院したアントニオをつけ、彼の家に押し入りアントニオを痛めつけ家を占拠する。しかしながら事は計画通りに進まずルミニツァの企ては暗礁に乗り上げてしまう。

中盤以降で、不法移民のルミニツァと末期ガンの老人アントニオの間に哀れみ(同情)のようなものが芽生え始める。疲れ果て、着のみ着のままのルミニツァをベッドに寝かしつけ、清潔な洋服を与えるアントニオ。一方でルミニツァはアントニオを風呂にいれ洗ってやるのだ。敵だった相手が互いに手を差し伸べる。やがてケチで有名な老人アントニオがルミニツァの為に金を用意するのだった。
全体的に悲惨この上なく、ラストは猛烈に悲惨だった。悲惨なドラマは評論家に受けるのだろうか?

昨今フランスやイタリアで起こる移民問題…「13才の夏に僕は生まれた/2005」「西のエデン/2008」「君を想って海をゆく/2009」を思い出す。
先だって観たアキ・カウリスマキの「ル・アーヴルの靴みがき/2011」も移民がテーマの映画だった。

老人役のロベルト・ヘルリッカはどこかで見た、見たと思いつつ、思い出せなかったが…「夜よ、こんにちは/2003」で“赤い旅団”に誘拐されたイタリアのアルド・モロ元首相を演じていた俳優。
モルドバからやって来た不法移民のルミニツァを演じるのはルーマニア生まれのオリンピア・メリンテ。

有楽町 朝日ホールにて
Commented by rose_chocolat at 2012-06-09 14:48 x
今年は私もイタリア映画祭に参加することができました。
4本観賞。これも拝見しました。けど自分のツボではなかったですね。

>悲惨なドラマは評論家に受けるのだろうか?
悲惨な話も観ますけど、本作の場合は日本人にはなじみのないシチュエーション過ぎてしまいましたね。
Commented by margot2005 at 2012-06-14 00:12
rose_chocolatさん、こちらにもコメントありがとうございます。

今年のイタリア映画祭はもっとたくさん観たかったのですが、日にちと時間が合わずであきらめました。次はフランス映画祭ですね。こちらは開催期間が短いのでますます行けるかどうか疑問です。

昨今のイタリア映画はテーマの重いものが多い気がします。楽しいドラマが観たいのですが、あまり公開されないで残念です。
by margot2005 | 2012-05-13 23:56 | 映画祭 | Comments(2)