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「アニマル・キングダム」

「Animal Kingdom」 2010 オーストラリア
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ジョシュア(ジェイ)にジェームズ・フレッシュヴィル。
コディ家の母親ジャニーン(スマーフ)にジャッキー・ウィーヴァー。
長男アンドリュー(ポープ)に「ノウイング/2009」のベン・メンデルソーン。
次男クレイグにサリヴァン・ステイプルトン。
三男ダレンに「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝/2008」のルーク・フォード。
コディ家の親友バリー(バズ)に「キンキー・ブーツ/」のジョエル・エドガートン。
刑事ネイサン・レッキーに「ハート・ロッカー/2008」「ザ・ロード/2009」「英国王のスピーチ/2010」のガイ・ピアース。
監督、脚本は「メタルヘッド/2010」の脚本家デヴィッド・ミショッド。
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何はともあれクレイジーな映画である。強盗&麻薬で生計をたてているコディ家。母親ジャニーンは一心不乱に息子たちを溺愛しその存在が生き甲斐。そして彼らの破天荒な行動も100%黙認している。弁護士や刑事をも手玉に取るやり手ばあさんが阿修羅のよう。長男アンドリューは人間ではない。凶暴な犯罪者で悪魔なのだ。ラスト悪魔に制裁を下すジョシュア。“What a crazy fucking world!”といいながら死んで行くアンドリュー…やがて唐突にエンディングを迎える。とてつもなく衝撃的なその様に度肝を抜かれたが、アンドリューの放つ言葉がドラマの全てか...。

舞台は80年代のオーストラリア。ある日突然麻薬中毒の母親が急死する。一人息子のジョシュアはまだ17歳の高校生。葬儀を出す術も分からない彼は祖母に助けを求める。祖母ジャニーンと再会したジョシュアは引き取られ亡くなった母親の実家コディ家へとやって来る。コディ家には3人の男たちが住んでおり、彼らは強盗と麻薬売買を生業としていた。戸惑いながらも高校生活を送るジョシュア。しかしある日伯父のアンドリューに“車を盗んでこい!”と依頼され、犯罪に巻き込まれて行く。

一方で凄腕の巡査部長ネイサン・レッキーは、一家の中でもずば抜けて凶暴なアンドリューに目をつけ執拗な捜査を開始していた。まず未成年のジョシュアを犯罪一家から救い出し、彼の証言を基に一家逮捕の道を模索するがジョシュアは決して口を割らない。ほどなく警察から戻って来ないジョシュアに不審を抱いたアンドリューは、警察に寝返るのではないかと彼に強烈な圧力をかけ始める。それは美しいガール・フレンドにまで及び、ジョシュアは自分が生き延びるためには強くならねばならないと誓う。

たった17歳の少年、両親も兄弟もいない。凶暴な伯父に囲まれ、優しげに振る舞う祖母は表面上だけ。その上祖母は過去にジョシュアの母親と仲違いしており、祖母が心から愛するのは息子3人だけ。孫などどうでもよいのだ。檻の中で暮すも同然のジョシュアは悲痛の叫びをあげていたに違いない。

ドラマのたった一つの救いはジョシュアに手を差し伸べるネイサンの姿だ。演じるガイ・ピアースが適役。
ジャニーン以下、凶暴な3兄弟と、その親友バリーたちを演じる俳優が皆揃って“ワル”の雰囲気を漂わせぞっとする。特にアンドリュー役のベン・メンデルソーンが猛烈に凄まじい。
17歳の高校生役のジェームズ・フレッシュヴィルは撮影時実際に17歳だったそう。ときに見せる彼の表情が少年っぽかったことを思い出す。

新宿武蔵野館にて(2/24まで上映)
by margot2005 | 2012-02-15 00:10 | Comments(0)