2011年 05月 16日
イタリア映画祭2011...「初任地にて」
ネナを演じるイザベラ・ラニョネーゼは初めて観たイタリア女優。美人ではなく、頑固そうで、冷たい雰囲気が感じられる。そこが映画のネナにぴったりなのだ。
時代は1953年、舞台はイタリア南部(ブーツのかかと部分/アドリア海側)に位置するプッリャ州。こちらのチステルニーノという村(今日では街と表現した方が良いかも知れない)にやって来た新任教師ネナ。彼女の初任地である村の小学校は高い山に囲まれた平野が続き、街から隔離されたような場所に建つ。ネナには子供たちが無知で野性的に映る。プライドの高い彼女はこの村に長く留まるつもりはなく村人と交わろうとしない。しかし料理の出来ないネナを見かねた村の女性が親切にも食事に招いてくれる。無愛想なネナは黙々と食事をするばかり。ある日、フィアンセのフランチェスコが友人を伴いネナを訪ねて来るが、噂が気になると言い慌ただしく帰ってしまう。やがてフランチェスコから唐突に別れの手紙が届き、彼との将来はもろくも崩れ去ってしまう。かつて粗野で、無知な村の若者ジョヴァンニが誘いをかけて来たことを思い出したネナは、真夜中彼の家に忍び込み彼を誘惑する。
舞台となったチステルニーノは白い街と呼ばれているようで、ヒロインが暮らす白い石の家も下の写真の雰囲気。山に囲まれた平野で自給自足によりのんびりと暮らす村人たち。初任地に猛烈に違和感を感じ、移転願いを申し出ていたネナが自身の居場所を探し当てるラストはとても素敵だった。
昨年のヴェネチア映画祭以来、イタリア本国でも今月始めに一般公開されたばかり。今後日本で一般公開されることは多分ないだろうな?