「神々と男たち」

「Des hommes et des dieux」…aka「Of Gods and Men」2010 フランス
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クリスチャンに「華麗なるアリバイ/2007」のランベール・ウイルソン。
リュックに「そして、デブノーの森へ/2004」「ミュンヘン/2005」「宮廷画家ゴヤは見た/2006」のミッシェル・ロンズデール。
クリストフに「キングス&クイーン/2004」「96時間/2008」「君を想って海をゆく/2009」のアリヴィエ・ラブルダン。
セレスタンにフィリップ・ロダンバッシュ。
アメデにジャック・エルラン。
ジャン=ピエールにロイック・ピション。
ミシェルにグザヴィエ・マリー。
ポールにジャン・マリー・フラン。
ブリュノに「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「すべて彼女のために/2008」のオリヴィエ・ペリエ。
監督はグザヴィエ・ボーヴォワ。
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1996年、アリジェリアの山間の村にある修道院。そこに住む修道院長のクリスチャンら8人の修道士は、自給自足の、驚くほど質素な暮らしを営みながら日々祈りを捧げ、奉仕活動している。そして彼らはイスラム教徒の村人と宗教をも乗り越えた友愛関係を築いている。しかしアルジェリア軍とイスラム原理主義者の内戦が悪化し、村の平和が揺らぎ、修道院にもテロの脅威が押し寄せて来る…

クリスマス・イヴの夜にとうとう過激派が修道院に乱入して来る。彼らは負傷した仲間を手当するため修道士の一人で医師でもあるリュックを連れ出そうとする。しかし、クリスチャンはリュックは村人と共にあると言い、毅然とした態度でこれを拒否し、コーランを引用しキリスト教とイスラム教は隣人であると説くのだった。クリスチャンの凛とした態度に過激派は立ち去るが、修道士たちはアルジェリアを去るべきかどうか話し合うことになる。最初の話し合いの場で彼らの中には去りたいと訴える修道士が数名いた。やがてフランス本国からは帰国命令が出される。しかし村人から”あなたたちは心の支え”と残留を求められ悩む修道士たち。そして再び彼らは1本のろうそくが灯る質素な食堂のテーブルに集まり話し合いの場を持つ。前回と同じくクリスチャンは一人、一人に留まるか、去るか質問して行く。やがて、彼らは全員一致でアルジェリアに留まることを選ぶのだった。これに続く“最後の晩餐”のシーン…いやいやとてつもなく良かったあのシーンは。

今年に入ってから観た宗教をテーマにした作品は「白いリボン」「ヤコブへの手紙」「サラエボ、希望の街角」「アンチクライスト」の4本。今回のフランス映画は実話であり、キリスト教とイスラム教の垣根を超えたとても厳かな作品で、宗教が非日常的な存在であるわたしでも胸に迫る素晴らしい作品だった。

修道院長クリスチャンを演じるランベール・ウイルソン。彼はハリウッド大作でもおなじみの俳優で、今まで観た作品では浮気なモテ男のイメージが強い。しかしこちらでは僧衣に身を包み、優しいまなざしを絶やさないクリスチャン役が素晴らしく似合っている。ランベール・ウイルソンはシンガーでもあるそう。祈りを唱える彼の声が透き通るように美しかったのもうなずける。

フランス政府から帰国命令が出たにも関わらず留まることを選択した修道士たち。“チャイコフスキーの白鳥の湖”をバックミュージックに、まるで“最後の晩餐”のようにワインを酌み交わす修道士たちの姿が心に残る。
少々ネタばれするが…雪の中に埋もれる墓(十字架)。降りしきる雪の中テロリストたちに連れ去られる修道士たち。その二つの映像が重なったところでエンディングを迎える。とても、とても印象的なラストは脳裏に焼き付く。
フランスで大ヒットし、カンヌ映画祭のグランプリ(2010)に輝いたのも当然であり、”荘厳/神々しい”という言葉がぴったりの作品。

シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2011-04-03 20:34 | フランス | Trackback(11) | Comments(4)
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Tracked from 佐藤秀の徒然幻視録 at 2011-04-04 00:30
タイトル : 神々と男たち
公式サイト。原題:DES HOMMES ET DES DIEUX、英題:OF GODS AND MEN。グザヴィエ・ボーヴォワ監督、ランベール・ウィルソン、マイケル・ロンズデール、オリヴィエ・ラブルダン、フィリップ・ロダ ...... more
Tracked from foggyな読書 at 2011-04-04 20:37
タイトル : 神々と男たち
先週末が英国映画三昧だったので、今週末はフランス映画を。 というわけで、今日から営業再開した銀座シネスイッチに行ってきました。 舞台は1996年代のアルジェリアの小さな村。 カトリック修道院を中心としたイスラム系の村民たちの暮らしがあった。それがイスラム原理主義者の台頭で崩されていく。異教徒、しかもアルジェリアを植民地化して搾取してきたフランス人、ということで、修道士たちは標的になりかねない。政府からは帰国命令がくる。しかし村人たちは「行かないでくれ」と懇願する。 修道士だって人の子。...... more
Tracked from 象のロケット at 2011-04-04 22:14
タイトル : 神々と男たち
1990年代、北アフリカ・アルジェリアの小さな村で、フランス人のカトリック(シトー会)修道士たちが質素な共同生活を送っていた。 彼らはイスラム教徒の地元民とも友愛関係を築き、診療所も運営している。 しかし内戦により、イスラム過激派とアルジェリア軍との衝突は激化し、修道院にも危険が迫っていた…。 実在の事件に基づくヒューマンドラマ。 ... more
Tracked from NiceOne!! at 2011-04-14 07:46
タイトル : 【TIFF2010】『神々と男たち』(2010)/フランス
原題:OfGodsandMen/DESHOMMESETDESDIEUX監督:グザヴィエ・ボーヴォワ出演:ランベール・ウィルソンマイケル・ロンズデールオリヴィエ・ラブルダンフィリップ・ロダンバックジャック・エルラ...... more
Tracked from soramove at 2011-04-16 02:50
タイトル : 映画「神々と男たち」それでも神は沈黙を守るのか
「神々と男たち」★★★☆ ランベール・ウィルソン、マイケル・ロンズデール、 オリヴィエ・ラブルダン、フィリップ・ロダンバッシュ出演 グザヴィエ・ボーヴォワ監督、 101分 、2011年3月5日公開 2010,フランス,マジックアワー、IMJエンタテインメント (原作:原題:DES HOMMES ET DES DIEUX/OF GODS AND MEN )                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知り...... more
Tracked from シネマな時間に考察を。 at 2011-04-20 16:16
タイトル : 『神々と男たち』
神に仕えし身にあらば、彼らはみな神々である。 しかしながら死する時は、人として死ぬであろう。 白鳥の湖の昂ぶる旋律にいざなわれし、神々の晩餐に。 『神々と男たち』 DES HOMMES ET DES DIEUX 2010年/フランス/120min 監督:グザビエ・ヴォーヴォワ 出演:ラ... more
Tracked from 新・映画鑑賞★日記・・・ at 2011-10-20 11:13
タイトル : 神々と男たち
【DES HOMMES ET DES DIEUX/OF GODS AND MEN】2011/03/05公開 フランス PG12 120分監督:グザヴィエ・ボーヴォワ出演:ランベール・ウィルソン、マイケル・ロンズデール、オリヴィエ・ラブルダン、フィリップ・ロダンバッシュ、ジャック・エルラン、ロイック・ピション...... more
Tracked from 虎猫の気まぐれシネマ日記 at 2011-11-08 00:15
タイトル : 神々と男たち
第63回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞,および第83回アカデミー賞外国語映画賞フランス代表作。 アルジェリア内戦時代の1996年に起きた,武装イスラム集団によるフランス人修道士の誘拐及び殺害事件を元に製作された作品。実際に誘拐された修道士たちが生活していた修道院は,アトラス山脈の山間のチビ... more
Tracked from いやいやえん at 2011-11-12 09:04
タイトル : 神々と男たち
アルジェリアで実際に起きた原理主義者によるフランス人修道士誘拐・殺害事件を題材にした作品。 内戦のさなか、質素に穏やかな共同生活を送っていた修道士と地元民たち。ところがイスラム過激派によるテロが激化し、フランス政府からは帰国命令が。帰るべきか、留まるべきか。修道士の間でも意見が分かれ…。 地味なつくりの作風ですが、気づくと静かに引き込まれていました。また、BGMらしいBGMはないものの、度々ある修道士たちの歌う賛美歌がとても美しかった。 クリスマスの夜に修道院にやって来たテロリストたち...... more
Tracked from RE940の自作DVDラベル at 2012-05-16 20:44
タイトル : 神々と男たち
2010年 フランス 123分 監督:グザヴィエ・ボーヴォワ 出演:ランベール・ウィルソン マイケル・ロンズデール オリヴィエ・ラブルダン フィリップ・ロダンバッシュ ジャック・エルラン  1996年、激しい内戦が続くアルジェリアで布教活動を行なっていたフランス人のカトリック修道士7名が、現地のイスラム武装集団によって誘拐され、殺害されるという事件が発生。死と隣り合わせの切迫した状況が続くなかで、なおも人間としての尊厳と誇りを失わず、その地に留まることを選んだ彼らの姿...... more
Tracked from 黄昏のシネマハウス at 2014-10-22 23:09
タイトル : 神々と男たち (2011/6/1)
1996年のアルジェリアで、フランス人修道士たちが差し迫るイスラム過激派による身の危険をもかえりみず、その地に留まり殉教するという事件が起こりました。 それに題材を得て、殉教に至る彼らそれぞれの心理的な葛藤を描いた、2010年度カンヌ映画祭グランプリ受賞作です。 北アフリカ、アルジェリアの山間にある修道院。 ここで8人の修道士が、信仰に身をささげ、自給自足の生活を送っていました。 彼らは医療などの奉仕活動を通じて、イスラム教徒である村人たちともお互いに信頼し、尊敬しあう良好な関係を築き...... more
Commented by rose_chocolat at 2011-04-14 07:47 x
いつもありがとうございます。
この度blogを引っ越しました。
楽天へのTBは4月19日より廃止になるそうです。
記事は少しずつ移管していきます。  今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Commented by margot2005 at 2011-04-25 23:47
rose_chocolatさん、レスが遅くなって申し訳ありません。
こちらこそいつもTBありがとうございます。
楽天はTB出来なくなったのですね。それもいきなりってヒドいですね。
記事の移管頑張ってくださいませ。
Commented by なな at 2011-11-08 00:14 x
こんばんは!テンプレが変わりましたね!
ランベール・ウィルソン,お顔は知っていたけど
名前までは知りませんでした。
年齢を重ねて渋さも出てきましたね。
そっか~~,彼は歌手でもあるのか・・・
リュック役の俳優さんもハリウッド作品でよく見るので
アメリカ人かと思ってましたらフランスの俳優さんでしたのね。
こんな史実があったなんて,知りませんでした。
死の恐怖をも超越した彼らの決断に胸を打たれましたが
そこに至るまでの,一般人となんら変わらない葛藤も
とてもよく描かれていて共感できました。
Commented by margot2005 at 2011-11-23 22:28
ななさん、こんばんは。
レス遅くて申し訳ありません。
ランベール・ウィルソンは若い頃からハリウッド映画に出演しているようです。
この方シンガーでもあるということ...この映画を観れば彼の美声が確認できますよね。賛美歌の美しさを堪能いたしました。

リュック役のミッシェル・ロンズデールも色んな映画に出演している息の長い俳優のようです。
ランベールもミッシェルも素敵なフランス人俳優で好きですね。

さてこの映画も胸にズシーンと迫りました。
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