「君を想って海をゆく」

「Welcome」2009 フランス
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シモンに「ガスパール/君と過ごした季節(とき)/1990」「すべて彼女のために/2008」のヴァンサン・ランドン。
ビラルにフィラ・エヴェルディ。
マリオンにオドレイ・ダナ。
ミナにデリヤ・エヴァルディ。
監督、脚本は「パリ空港の人々/1993」「マドモアゼル/2001」「灯台守の恋/2004」のフィリップ・リオレ。
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17歳のクルド難民ビラルは、イラクから3ヶ月の間歩き続けようやくフランスの最北端カレにたどり着く。対岸の英国ロンドンへ渡るためトラックで密航を計るが失敗に終わり難民キャンプに収容される。一方でかつてたくさんの競技会でチャンピオンになった経験を持つシモンも今では市民プールのコーチを職業としている。彼は妻マリオンと離婚調停中であるが、出来ればヨリを戻したいと願っていた。
ある日、市民プールで泳いでいたビラルは、シモンにクロールの手ほどきをして欲しいと願い出る...

この映画はずっと楽しみにしていて、昨年公開されたものの行けなくて、今年に入ってから観に行った初フランス映画。期待どおりの素晴らしい作品!!だった。このような素晴らしい!!作品ながら有楽町のミニシアター、ヒューマントラストシネマ有楽町でしか公開していない。それも夕方1回のみ(2/4迄)。
テーマが、テーマだけに万人に好まれる映画ではないが観る人の心を揺さぶる感動作には間違いない。

シモンは偶然出会ったクルド人難民ビラルに救いの手を差し伸べる。始めは難民キャンプでボランティアをしている離婚寸前の妻マリアンの心をつなぎ止める手段で行動を起こすが、やがてどんどんエスカレートし、ビラルはまるで自分の息子のような存在になって行く。ある朝、シモンに内緒でドーヴァーを泳ぎ始めたビラルが行方不明になる。あせったシモンは湾岸警察に行方不明になったのは“自分の息子だ!”と通報する。全く違った世界、宗教の下に生まれ育った二人の間に、少々出来過ぎではあるが“父子の愛”を感じさせる展開は胸を打つ。
シモンが愛するマリオンに“ぼくは目の前の君を失おうとしているのに、彼は恋人に会いに海を渡ろうとしている。”という台詞はナイスだった。

イラクから徒歩で3ヶ月かかりフランスの最北端の地カレまで歩いて来たビラル。過去に観た「13才の夏に僕は生まれた/2005」「西のエデン/2008」でも難民問題が描かれていたが、陸続きのフランス、イタリアまではたどり着けても英仏間にあるドーヴァー海峡を渡らねばならない。英国に行こうとしたビラルの試練は大変なものだったに違いない。少々ネタばれするが…悲劇に終わってしまうこの作品は感動と共に悲哀も残る。
どうしてもロンドンに行くと言いはるビラルに、フランスで生活しても良いじゃないか?と諭すシモン。ドーヴァー海峡を渡るには10時間泳がねばならないという過酷な現実に果敢に挑むビラル。それって切羽詰まった人間だからこそ出来ることなんだと妙に納得した。とにかくビラルは恋するミナに会いたくてたまらなかったのだろう。フランスに留まれば彼の人生もまた変わっていたのにと考えずにはいられなかった。

「すべて彼女のために」では体当たりで妻を守る愛情深い夫ジュリアンを好演していたヴァンサン・ランドン。偏見者であった男が難民ビラルに出会い、彼を恋人に会わせるべく奔走するシモンを素敵に演じていてトレヴィアンだ。

密航者たちが多く集まる港町カレ。国境の地ということもあるが、英国に渡るフェリーとそれに乗船するトラックの多さに驚いた。
原タイトルの「Welcome」...フランスも英国も難民などちっともWelcomeじゃないのに、このタイトルはきわめて良い。
「君を想って海をゆく」という邦題は日本の映画会社が好みそうなタイトルではあるが、つまらなさ過ぎ。
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by margot2005 | 2011-01-30 23:32 | フランス | Trackback(6) | Comments(0)
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