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「ソフィアの夜明け」

「Eastern Plays」 2009 ブルガリア
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イツォ(フリスト)にフリスト・フリストフ。
ゲオルギにオヴァネス・ドウロシャン。
ウシュルにサーデット・ウシュル・アクソイ。
ニキにニコリナ・ヤンチェヴァ。
監督/脚本/製作/編集にカメン・カレフ。
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フリスト・フリストフは国立美術学院で木工を学んだアーティスト。映画初出演で、撮影終了後事故で亡くなった。
そういや映画の中で創作する姿はリアルだった。
ヘロイン中毒でメタドン治療を受けているイツォは生きることに投げやりでアルコールに頼る毎日。朝起きて最初に口にするのはビールといった案配。
38歳のイツォには17歳の弟ゲオルギがいる。弟は同居する両親がうざくて仕方がない。やがて彼は髪をスキンヘッドにし過激派グループのギャングとなる。
学校で演技を学ぶ若くて純真なニキはアーティスト、イツォに夢中だが彼は彼女の存在が重荷でならない。
ある夜、二人はレストランでディナーの最中口論に発展し、怒ったニキは席を立ち行ってしまう。一人残されたイツォはまたしても浴びるほどビールを飲みレストランを後にする。そしてトルコ人家族の父親が暴漢に襲われている場に出くわす。彼を助けようとしたイツォは逆にギャングたちに殴られ怪我を負ってしまう。怪我の手当に病院へ行ったイツォは、暴漢に襲われた父親の娘ウシュルを見つける。ウシュルと両親はベルリンに住む彼女の兄を訪ねるためにブルガリアを横断中で、ソフィアのホテルに滞在中だった。イツォとウシュルは互いに惹かれ合うが、彼女の父親が二人の交際を許すわけもなく一家はイスタンブールへ戻ってしまう。

ソフィアの夜明け、電車が走る道路を彷徨うイツォは一人の老人と出会い誘われるまま彼のアパートを訪ねる。疲れ果てていたイツォは知らない人の家で眠り込んでしまう。はっと目が覚めた時、目の前に見知らぬ赤ちゃんがいる。見つめるイツォの顔つきがとても和らいでいたのが印象的だった。
かつて“すべての人を愛し、抱きしめたいのに出来ないんだ!”と叫んだイツォ。
大ラス、イスタンブールを訪ねる姿に未来が見え、長い間オスマン帝国の支配下に置かれたブルガリア人と、支配したオスマン(トルコ)人との間に芽生える恋の行方が気になった。

ブルガリアと言えば“ヨーグルトと琴欧州”。そして以前BS放送で見たブルガルアの“ローズオイル”はスゴく有名。“ローズオイル”は世界の70%の生産を誇るという。
隣国がトルコというのも改めて記憶にとどめた。
ブルガリアは年に7,8本しか映画が作られない国なのだそうだ。その中の一本を観ることが出来たとはラッキーなこと。この作品は2009年の東京国際映画祭で東京サクラグランプリ/最優秀監督賞/最優秀男優賞を受賞した。

渋谷 シアター・イメージ・フォーラムにて
Commented by foggykaoru at 2010-12-14 20:41
実はブルガリアに行ったことがあるので、この映画にはちょっと興味がありました。でも、風邪引きで行けません。。。(涙)
Commented by margot2005 at 2010-12-19 23:06
foggykaoruさん、こんばんは。
東ヨーロッパは魅力ありますね。機会があれば是非行ってみたいです!ブルガリア!
ミニシアター映画にふさわしい地味な作品ですが、たくさんの人々に観ていただきたい素晴らしい映画でしたね。
by margot2005 | 2010-12-05 00:58 | ヨーロッパ | Comments(2)