2010年 10月 03日
「メッセージ そして、愛が残る」
ネイサンに「モリエール 恋こそ喜劇/2007」のロマン・デュリス。
ケイに「チェンジリング/2008」「バーン・アフター・リーディング/2008」のジョン・マルコヴィッチ。
クレアに「ハート・ロッカー/2008」のエヴァンジェリン・リリー。
監督はフランス人のジル・ブルドス。
原作はギョーム・ミュッソの“メッセージ そして、愛が残る”。
ある日、ニューヨークの敏腕弁護士ネイサンの元にケイと名乗る医師がやって来る。自分は人の死期が分かるというケイの言葉に疑い怒りを募らすネイサン。ネイサンは突然死で失った幼い息子の事故以来心を閉ざし妻と娘とも離れて暮らしていた。しかし執拗に付きまとうケイの言葉を信じるようになったネイサンは妻子を訪ねる決心をする...
とにかくとてつもなく美しいファンタジー・ヒューマン・ドラマ。
ロマン映画は3月に観た“モリエール”の印象が残っていたので、彼のファンタジックでロマンティックな映画ってどうなの?と思っていた。しかし初めて体験のロマンのロマンティック映画は中々素敵だった。
まずオープニングで素晴らしく美しい映像に魅了される。水面を滑走するBeautifulな白鳥の姿とバックに流れる音楽が見事に調和してうっとりとしてしまう。
ネイサンとクレアの胸に抱かれた小さな息子と、二人の愛娘が森の中で戯れるシーンは圧倒的に美しい!ラスト近く、雪のように見える白い砂地でクレアが撮影するあのシーンも素晴らしくBeautiful!!
この映画の素晴らしさは映像美に尽きるかと思う。
某新聞映画評は例によって絶賛してあったが、これから死に行く人を覆う“白いライトが見える”という人の感覚がどうも理解出来なく、おまけに宗教的なものも感じられ、映像は鳥肌がたつほど美しいが、感動に胸ふるわすってことほどでもなかった。でも素敵な映画であったのは事実。
ストーリーが進むにつれオープニングで事故に遭う少年がネイサンだと分かる。彼は8歳の時に自動車事故に遭うが生き延びる。やがて物語は25年後に...妻子と別れたネイサンは一人ニューヨークに住む。幼い息子を突然死で亡くした事実を受け入れることが出来ず、彼以上に傷ついた妻を思いやらず自身の哀しみに閉じこもってしまったのだ。しかしある日突然彼の元に現れたケイに導かれるようにクレアの元へ向かう。それは自身がケイによって死を宣告されたから。人は死を予告されたら、死ぬ前に自身が取った間違った行動をなんとか修正しようと思うのだろう。しかし死はネイサンのものではなく愛する人のものだったというオチはベストセラー小説のテーマにふさわしい。
“アムール”の国フランスで大ベストセラーになったらしい“ラヴ・ストーリー”小説。いつものことながら小説読んだらスゴく感情移入出来そうな気もした。
前から感じていたジョン・マルコヴィッチのものすごくソフトな語り口…これではそれが活かされて、ケイの台詞は、風貌は全く合わないがまるで天使のように聞こえる。
カナダ出身のエヴァンジェリン・リリーはとても魅力的な女優だ。
ロマン映画で全編英語って初めて観たが、彼の話す英語が素敵に響く。
この美しい映画を撮影したのは台湾出身のリー・ピンピン。彼の撮影した「夏至/200」や「花様年華/2000」の美しい映像が蘇る。
“その後”という原タイトルに上手く結びつけた邦題はまぁまぁかな。でもマジで日本の映画関係者って“愛”って文字を入れるのがお好き。
TOHOシネマズ日比谷シャンテにて