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「彼女が消えた浜辺」

「About Elly」 2009 イラン
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セピデーに「ワールド・オブ・ライズ/2008」のゴルシフテ・ファラハニ。
エリにタラネ・アリシュスティ。
アーマドにシャハブ・ホセイニ。
監督、脚本はアスガー・ファルハディ。

テヘランからカスピ海沿岸の避暑地にバカンスに来た3組の家族。バカンスの計画を立てたセピデーは子供たちの保育園で働くエリを伴っていた。それは離婚したばかりの彼らの友人アーマドに引き合わせるためでもあった。しかし次の朝、子供たちとビーチで遊ぶエリがこつ然と姿を消す...
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ベルリン国際映画祭監督賞受賞(2009)
こちらも予告編を何度も観ていて気になっていた一本。都内では有楽町のスーパー、ミニシアター ヒューマントラストでしか上映していない。地味な、それもイラン映画ということで平日の夜シアターがらがらと思いきや、かなりの入りで驚いた。

プジョーにBMW、一時流行った 色物のルイ・ヴィトン&グッチのサングラスとヨーロッパ物が好きなイラン人(中産階級)。その辺は日本人と似ている。しかしながらチャドル(全身を覆うものではなく髪と首を隠すスカーフ)とルイ・ヴィトンは相性悪いのではないか?

“私の底にもう一人の私が眠っている...”謎だらけのエリは自殺ではないか?と切に感じた。
アーマドがエリにドイツ人の妻と別れた理由を聞かれ答える。ある朝妻がこう言ったんだ“永遠の最悪より、最悪の最後がまし”って…それってスゴく分かる、ドイツ人妻の名台詞だ。

常にスカーフを巻いているので、始めセピデーとエリの区別がつかなかった。だんだんスカーフの顔になれてきて、そしてエリが失踪し、彼女の映像がなくなってから二人の顔は全く違うことが判明。
ゴルシフテ・ファラハニは「ワールド・オブ・ライズ」でディカプリオ演じるCIAエージェントのガールフレンド、アイシャを演じていた。

この映画は失踪事件を描くサスペンスではなく、エリを誘ったセピデーを主人公に、とんでもないことが起こってしまった事実に慌てふためき、どうして良いか分からず途方に暮れる彼らの姿を執拗に負う辛口のヒューマン・ドラマ。責任を問われるセピデーは嘘で嘘を塗り固め、それを攻める夫はとうとう彼女に暴力を振るう始末。やがてエリの失踪を知った兄がやって来るが、彼は兄ではなくフィアンセだったのだ。イスラムの世界ではフィアンセがいる女性は、たとえ団体行動であっても男と一緒に出かけることはタブーらしい。エリには色々と事情があったようだが、革新的な女性であったろうと想像する。
最初はどんなストーリーが展開されるのか全く予想がつかなくて、つまらないかも知れない?なんて思っていたのは間違いだった。
イラン映画は「子供の情景/2007」以来。こちらのイラン映画は中々味わい深い。
Commented by sabunori at 2010-10-20 23:11
margotさん、こんばんは。
この作品先が読めなくて興味深く鑑賞しました。
「永遠の最悪より最悪の最後の方がマシ」、わかりますよね。
ホント、名言です。
エリがいなくなってから少しづつ見えてくるエリの本当の姿。
観ごたえある作品でした。
チャドルとルイ・ヴィトン・・・こういうファッションに慣れていないせいか
そう感じてしまいますよねぇ。
Commented by margot2005 at 2010-10-24 22:12
sabunoriさん、こんばんは。
“永遠の〜”..あの台詞はホントよかったです。ちょっと発言したい時ありますわ。
エリの死について細かく描かなくて、観たものの想像をかき立てるやり方も良かった気がします。
最近チャドル姿の女性に遭遇する機会は増えましたが、まだまだ日本ではイスラム系は少ないですね。
by margot2005 | 2010-10-02 00:17 | アジア | Comments(2)