「セラフィーヌの庭」

「Séraphine」2008 フランス/ベルギー/ドイツ
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セラフィーヌ・ルイに「アメリ/2001」「ベティの小さな秘密/2006」「パリ、ジュテーム/2006」のヨランド・モロー。
ドイツ人画商ヴィルヘルム・ウーデに「善き人のためのソナタ/2006」「ノース・フェイス アイガー北壁/2008」のウルリッヒ・トゥクール。
ウーデの妹アンヌ・マリーにアンヌ・ベネント。
女子修道院長にフランソワーズ・ルブラン。
セラフィーヌの雇い主デュフォ夫人に「愛されるために、ここにいる/2005」のジュヌヴィエーヴ・ムニシュ。
ウーデの恋人ヘルムートにニコ・ログナー。
セラフィーヌの隣人ミヌーシュに「フランドル/2005」のアデライード・ルルー。
監督、脚本にマルタン・プロヴォスト。
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1912年、フランス郊外サンリス。セラフィーヌがメイドとして働くデュフォ夫人の家にドイツ人画商ウーデが妹のアンヌ・マリーと共に引っ越して来る。ある日、セラフィーヌの描く絵に心奪われたウーデは貧乏な彼女に援助を申し出る。しかし2年後第一次世界大戦が勃発。敵国ドイツ人のウーデはフランスを離れる運命に陥る。ウーデの援助を失ったセラフィーヌは生活のため再び働かなければならなかった。1927年にウーデは再びフランスにやって来る。セラフィーヌと再会した彼は再び援助することを約束する...

フランス、セザール賞(2009)最優秀作品賞/監督賞/主演女優賞/受賞。
実在の女流画家セラフィーヌ・ルイの生涯を描いたヒューマン・ドラマ。セラフィーヌ・ルイについてはもちろん初めて知った。“女ゴッホ”と呼ばれる彼女は、作風も生き様もゴッホに似ている。花や樹木を愛し、描き、生きている間は決して注目されなかったセラフィーヌ。ゴッホも同様である。セラフィーヌの絵は、彼女の死後ウーデを通じて世間に紹介された。
天使のお告げで絵を描き始めたセラフィーヌは、貧しい生活を支えるため、メイドとしてデュフォ夫人の家で働く傍ら、誰にも師事せず全く独自で絵を描いている。絵の具は動物の臓物や血、そして植物から作り出していた。デュフォ夫人が“子供の描いた絵”と酷評したセラフィーヌの絵は、彼女自身が自然を好み、無垢であったように、一種独特の趣がある。私的には好きな部類に入り一度本物を見てみたい。
アンリ・ルソーを見いだした画商ウーデの目がセラフィーヌの絵に注目したのは分かる気がする。ルソーの絵ってセラフィーヌよりもっと、もっと大胆で独特の世界なのだから…。
画商ウーデと再会したセラフィーヌはパトロンを得て再び絵を描き始める。しかし1929年に世界恐慌が起き、それまでも不安定だったウーデの財政が悪化して行く。援助出来ないウーデの現実が理解出来ないセラフィーヌは次第に精神に異常を来して行く。世界恐慌が起きる前1914年に第一次世界大戦が始まり、敵国であるドイツ人ウーデは財産を差し押さえられフランスを去らなくてはならない運命にあった。彼は15年後に再びフランスに戻って来るが、戦争も、世界恐慌もなければセラフィーヌは生きている間に絵が売れて有名になっていたかも知れないし、精神を病むこともなかったに違いない。運命とはなんと皮肉なものかとしみじみ思う。
一時期、パトロンを得たセラフィーヌが結婚の予定もないのに純白のウエディング・ドレスをオーダーし、それを着て街を歩き回るシーン...セラフィーヌが聖女に見えた。
50代半ばのヨランド・モローが40代から60代のセラフィーヌを演じた。「ベティの小さな秘密」でも精神を病む家政婦という役柄だったが、ヨランド・モローはこういった役が非常に上手い。
神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2010-08-15 21:46 | フランス | Trackback(8) | Comments(2)
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margotさん、こんばんは。
私もセラフィーヌ・ルイという女流画家はこの作品で初めて知りました。
時代のめぐり合わせによって彼女の運命も踊らされてしまいましたね。
確かに戦争がなければ、恐慌がなければ・・・
彼女はどんな人生を生きていたのでしょう。
裸足で仕事をして、木に登り木や風と語る姿はまさに自然と共存
していると思いました。
Commented by margot2005 at 2010-09-16 22:00
sabunoriさん、こんばんは!
さてセラフィーヌ・ルイの絵が俄然みたくなりましたね。立派な額縁に入った彼女の絵はなんとなく想像出来ませんが、きっと素晴らしい!でしょうね。
そうここでも戦争が災いしていましたね。恐慌もそうだし...時代に翻弄されたセラフィーヌはお気の毒だったと思います。
でも自然と一体化したようなピュアな心を持つ彼女には戦争も、恐慌も関係なかったのかも知れません。画商はさぞ大変だったでしょうがね。
セラフィーヌのプロフィールは知りませんが、ヨランド・モローはハマっていたように見えました。

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