「あの夏の子供たち」

「Le père de mes enfants」…aka「Father of My Children」2009 フランス/ドイツ
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グレゴワールにルイ・ド・ドゥ・ランクザン。
シルヴィアに「リプリーズ・ゲーム/2002」「赤い肌の大地/2008」のキアラ・カゼッリ。
長女クレマンスに「水の中のつぼみ/2007」「夏時間の庭/2008」のアリス・ドゥ・ランクザン。
次女ヴァランティーヌにアリス・ゴーティエ。
三女ビリーにマネル・ドリス。
映画プロデューサー、セルジュに「夏時間の庭」のエリック・エルモスニーノ。
監督、脚本はミア・ハンセン・ラヴ。
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パリで独立系映画会社“ムーン・フィルム”を経営するグレゴワールは妻と子供たちを愛する良き家庭人。しかし会社は借金まみれで、ある日突然彼は自らの命を絶つ…

2009年カンヌ国際映画祭<ある視点部門>審査員特別賞受賞。
フランス映画祭2010上映作品。
原タイトルの“私の子供たちの父”という表現が素敵。前半は子供たちの父グレゴワールを中心に描かれ、後半からは子供たちの母シルヴィア目線で描かれて行く。
父親を演じたルイ・ド・ドゥ・ランクザンはどこかで見た顔だとずっと思っていたが、今まで観た映画の中での彼を思い出すことは出来ない。おそらく誰かに似ているのだろう。長女クレマンス役のアリスはランクザンの愛娘。
監督、脚本を担当するミア・ハンセン・ラヴは女優出身でまだ20代。「夏時間の庭」の監督オリヴィエ・アサイヤスとの間に2009年に生まれた娘がいるという。マギー・チャンもそうだったけど、オリヴィエ・アサイヤスは若い女優ゲットするのが上手い方。

グレゴワールはタバコと携帯電話を片時も離さず、今日もパリの街を歩いている。独立系映画プロデューサーの彼は、企画や製作の資金調達に走り回る多忙な日々を送りながら、家庭サービスも決しておろそかにせず、週末は家族と別荘で過ごすファミリーマン。しかし映画製作会社”ムーン・フィルム”の経営者でもあるグレゴワールは現像所への負債とスタッフへの賃金未払いに追いつめられ、精魂尽き果てたある日突然自らの命を絶つ。
いつものようにタバコと携帯を持って車に乗り込んだグレゴワール。あてどもなく走らせた車から降り歩き始める。ふと立ち止まりポケットから取り出した手紙を燃やし始める…それはグレゴワールが死にたくなった要因である請求書の束。燃え上がる紙を苦渋の表情で見つめるグレゴワール。オープニング、子供たちと過ごすグレゴワールの顔はなんと幸せそうであったか?あまりに変化した彼の顔に目が釘づけになる。やがておもむろに立ち上がったグレゴワールはポケットから取り出した銃で頭を撃つ。あっという間だが、スゴく衝撃的なシーンだった。
グレゴワールの死を知らされた妻シルヴィアは夫のかつての仕事場へ子供たちを伴いやって来る。長女のクレマンスは10代半ばくらい(高校生)?父の死が理解出来ない幼い二人の妹たちに優しく接する姉クレマンスのが健気だ。彼女自身も父を失った悲しみでいっぱいだろうに…。
亡き夫が残した会社ムーン・フィルムを立て直そうと奔走するシルヴィアの姿も共感を呼ぶ。
シルヴィアが3人の娘を連れタクシーで空港に向かうラスト…エンディングはドリス・デイが歌う名曲“ケ・セラ・セラ”。シルヴィア母子の新しい人生が始まろうとするにふさわしい選曲で胸にジーンと来る。
恵比寿 ガーデン・シネマにて
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by margot2005 | 2010-06-21 23:25 | フランス | Trackback(9) | Comments(2)
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Commented by sabunori at 2010-07-01 18:36
margotさん、こんばんは。
アサイヤスは本当に若い綺麗どころを次々とモノにしますねぇ。
物語の前半、下の子供2人がニュース番組を披露するエピソードが
印象的でした。本当に完璧なほど幸せな家族でしたよね。
人の心なんて他人には到底わからないですが、グレゴワールには
もうひとふん張りして欲しかった。
エンディングに流れる「ケ・セラ・セラ」はこの家族へのエールですね。
Commented by margot2005 at 2010-07-06 20:57
sabunoriさん、こんばんは!
アサイヤスって50代半ばでよくやります。さすがアムールの国のフランス人。
この映画はアサイヤスの「夏時間の庭」同様映像が美しくて見応えがありました。アサイヤスは監督のパートナーなので、影響とかあるのでしょうかしらね?
エンディングの「ケ・セラ・セラ」はそう彼女たちへのエールでありました。トレ、トレヴィアン!な素敵な選曲だったと思います。
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