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「コロンブス 永遠の海/ノン、あるいは支配の空しい栄光」

「Cristóvão Colombo - O Enigma」...aka「Christopher Columbus, The Enigma」 2007 ポルトガル/フランス
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監督、脚本はマノエル・デ・オリヴェイラ。
マヌエル・ルシアーノに「夜顔/2006」のリカルド・トレパ。
シルヴィアに「家路/2001」「夜顔」のレオノール・バルダック。
老人のマヌエル・ルシアーノにマノエル・デ・オリヴェイラ。
妻シルヴィアにマリア・イザベル・デ・オリヴェイラ。

1946年、ポルトガルからアメリカに渡った青年マヌエル・ルシアーノは後に医師免許を取得し医者となる。彼は仕事のかたわらクリストファー・コロンブス研究に情熱を注ぐ。コロンブスはイタリア人とも、スペイン人ともいわれており、彼の出生には多くの秘密が隠されていた。ポルトガルに戻ったマヌエルは教師のシルヴィアと結婚し、ハネムーンを兼ね、自らコロンブス生誕の地と仮定するクーバ(CUBA)という都市へ向かう…

オリヴェイラ監督と妻のマリアが老人となった夫妻を演じ、若い頃のマヌエルに扮するのはオリヴェイラの孫。
2007年、老夫婦マヌエルとシリヴィアはニューヨークにいる。長年連れ添った彼らは互いの愛を確認しあい、二人はコロンブスが航海に出発するまで妻子と過ごしたポルトガルのマデイラ諸島へと向かう。
この高齢のお二人がコロンブスのように航海に挑むのか?なんて想像していたが、撮影時99歳だったオリヴェイラと、その妻には無理な話。で、結局ラストはあっけなく終わってしまって..えっつ!!って感じ。
ドキュメンタリーのようでもあるドラマは、主人公マヌエルとシルヴィアの深い結びつきと愛情が二人を演じる監督夫婦の姿とダブって見えて微笑ましい。
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「'Non', ou A Vã Glória de Mandar」...aka「No, or the Vain Glory of Command」 1990 ポルトガル/スペイン/フランス
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監督、脚本はマノエル・デ・オリヴェイラ。

頭から読んでもお尻から読んでも“NON”は“NON”。戦争は“NON”と言いたかったポルトガルの巨匠マノエル・デ・オリヴェイラの反戦映画。
紀元前~現代に至るまで戦争を繰り返して来たポルトガル。映画はポルトガルの戦争史など何も知らない者でもユーモアたっぷりの展開が面白い。
かつて南アメリカやアフリカ大陸に植民地を持っていたこの国は栄光と敗北を繰り返して来たわけ。
舞台は1974年、アフリカ(植民地)のジャングルをパトロール中のポルトガル軍。小隊を率いる少尉は入隊する前、大学で歴史を研究していた知識人。少尉はトラックに乗り合わせた兵士たちに過去の戦争を語り始める…そして物語の舞台は紀元前へと…ポルトガル軍の兵士たちを演じる俳優が、それぞれの時代に登場する戦いの主人公を演じているのも可笑しくてオリヴェイラ監督のユーモア・センスを感じる。
100歳を超えた現役最年長オリヴェイラ監督の映画は「クレーヴの奥方/1999「家路/2001」「夜顔/2006」と見てきたがどれもDVDで、今回初めてシアターで観ることが出来た。
こちらの映画は「コロンブス 永遠の海」公開前に期間限定公開された。実はこの映画を観るつもりはなかった。「コロンブス 永遠の海」を観る予定で神保町に行き、岩波ホールに通じる地下鉄の階段になぜか?こちらの看板も掲げてあり、全くの勘違いで観に行ってしまった。でも中々面白い展開で「コロンブス 永遠の海」より興味深かったのは事実。
神保町 岩波ホールにて
by margot2005 | 2010-06-09 00:03 | ヨーロッパ | Comments(0)