「アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)」

「Un + une」2015 フランス
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パリに住む映画音楽作曲家アントワーヌはボリウッド版“ロミオとジュリエット”の音楽を担当することになりインドのニューデリーへと向かう。大使館のレセプションに招待されたアントワーヌは隣の席に座った大使夫人のアンナと会話がはずみ意気投合する。ある日、子宝に恵まれたいと切に願うアンナがインド南部の村に住む聖者アンマに会う旅に出るという。仕事で多忙な時に頭痛に悩まされるアントワーヌは気分転換に旅に出ようと決意する...

アントワーヌに「アーティスト/2011」「プレイヤー/2012」「ミケランジェロ・プロジェクト/2013」「メビウス/2013」のジャン・デュジャルダン。
アンナに「モディリアーニ 真実の愛/2004」「ストーン・カウンシル/2005」「ずっとあなたを愛してる/2008」「皇帝と公爵/2012」「ボヴァリー夫人とパン屋/2014」のエルザ・ジルベルスタイン。
サミュエルに「サブウェイ/1984」「美しき獲物/1992」「歌え!ジャニス・ジョプリンのように/2003」のクリストフ・ランベール。
アリスに「バツイチは恋のはじまり/2012」のアリス・ポル。
監督、脚本、製作は「男と女/1966」「男と女 II/1986」「男と女 アナザー・ストーリー/2002」のクロード・ルルーシュ。
音楽は「男と女」「うたかたの恋/1969」「さらば夏の日/1970」のフランシス・レイ。

アントワーヌとアリスの出会いや、アンナとサミュエルの出会いを織り込みながらドラマは進んで行く。
アンナには当然大使の夫サミュエルがいて、アントワーヌにもパリに残してきた恋人アリスがいる。恋多き男アントワーヌはアリスに結婚を迫られ少し戸惑っている。ドラマに登場する二人の女性はとても積極的で、どちらの女性もアントワーヌが欲しい様子。

飛行機は苦手で列車で旅に出たアンナ。彼女を追いかけ旅に加わるアントワーヌは飛行機を利用して先回りしていた。アンナが降り立った列車の駅にアントワーヌは待ち伏せしていたのだ。
あのシーンは「男と女」で、男がパリ、サンラザール駅でノルマンディから列車で戻る女を待っている姿を彷彿とさせとても素敵だった。
アントワーヌを演じるジャン・デュジャルダンは恋する男がとても似合う。

パリ・シャルル・ド・ゴール空港で偶然再会したアントワーヌ&アンナ。ラスト...良かった。
インドが舞台ということで旅愁も誘いドラマは盛り上がる。聖なるガンジス川で水浴びをするカラフルなファッションのアンナも素敵。
”ガンジス川は菌だらけだ!”と主張するアントワーヌに同感だったけど...。
中年男女のラヴ・ストーリーはとても切なく映画を見終わってやはり「男と女」を思い出した。
クリストフ・ランベール久しぶり。

Bunkamura ル・シネマにて
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# by margot2005 | 2016-09-22 23:57 | フランス | Trackback | Comments(0)

「セルフレス/覚醒した記憶」

「Self/less」2015 USA
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科学者のオルブライトは、ガンで余命半年と宣告された大富豪ダミアンに、最先端クローン技術で作った肉体に頭脳を転送することができると持ちかける。やがて68歳の余命いくばくもないダミアンが30代の若い男の肉体を手に入れるが、新たなそれはクローンではなく前の持ち主の記憶が残っており、その持ち主はマークという特殊部隊の兵士で、彼には妻子がいた...

マークに「あなたは私の婿になる/2009」「ハッピー・ボイス・キラー/2014」「白い沈黙/2014」「黄金のアデーレ 名画の帰還/2015」のライアン・レイノルズ。
オルブライトに「マッチポイント/2005」「敬愛なるベートーヴェン/2006」「ウォッチメン/2009」「シングルマン/2009」「イノセント・ガーデン/2013」「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密/2014」のマシュー・グード。
ダミアンに「エレジー/2008」「エクソダス:神と王/2014」のベン・キングズレー。
マデリーンに「ブロークンシティ/2012」のナタリー・マルティネス。
ダミアンの友人マーティンに「アルゴ/2012」「ボーダーライン/2015」のヴィクター・ガーバー。
アントンに「きみの帰る場所/アントワン・フィッシャー/2002」「大いなる陰謀/2007」「セントアンナの奇跡/2008」のデレク・ルーク。
ダミアンの娘クレアに「ダウントン・アビー シリーズ/2010~2015」「フライト・ゲーム/2014」のミシェル・ドッカリー。
監督は「ザ・セル/2000」「落下の王国/2006」「インモータルズ -神々の戦い-/2011」「白雪姫と鏡の女王/2012」のターセム・シン。

新しい肉体を得たダミアンは新しい人生を歩み始める。オルブライトが用意した家に移り住み、近隣に暮らすアントンと仲良くなる。数十年ぶりで若者の遊びに興じるダミアンは幸せを謳歌していた。しかしそんなある日、ダミアンはとてもリアルな夢を見る。夢にでてきた場所が脳裏を離れず、ネットで調べた末現地へ車を走らせる。
やがて自分が誰かと知ったダミアンは、本当の自分であるマイクの妻マデリーンと幼い一人娘を守るため闘い始める。秘密組織相手にたった一人で…。

強くて愛情深いマークを演じるライアン・レイノルズと、繊細で怪しげな科学者オルブライトを演じるマシュー・グードの二人…彼らは全く個性が違う俳優でそれぞれの役柄がぴったりのナイス・キャスティング。
マシューはもちろんライアンもお気に入り俳優なので二人の共演が楽しみだった一作。ターセム・シンの世界は映像が美しい。本作は映像美を見せる映画ではないがちょっと驚くテーマのSFアクションは中々興味深かった。

“不老不死”をテーマにした映画ではメリル・ストリープ&ゴールディ・ホーンの「永遠に美しく/1992」というのがある。秘薬を飲めば永遠に美しく生きられるが、どんなに身体が傷ついても決して死ねないという代償があり、結末は肉体がバラバラに壊れてもまだ生き続けるという悲惨なもの。その映画は当然ブラック・コメディだった。
ライアン・レイノルズの妻ブレイク・ライブリー主演の「アデライン、100年目の恋/2015」は“不老不死”のためにヒロインが身を隠し、偽って生きなければならない試練があり、老いの印を見つけた時彼女は喜びに浸っていたのを思い出す。

とにかく人間いつまでも若くはいられないし、その時がくれば人生にさよならしなくてはならないのが現実。その現実に逆らいたい人っているのだろうか?なんてふと考えた。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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# by margot2005 | 2016-09-21 23:23 | MINI THEATER | Trackback | Comments(0)

「アスファルト」

「Asphalte」…aka「Macadam Stories」2015 フランス
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フランス郊外の団地に暮す不器用で孤独な男女を描いた群像ドラマ。

ジャンヌ・メイヤーに「沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇/1995・甘い罠/2000」「愛、アムール/2012」「皇帝と公爵/2012」「ラブストーリーズ エリナーの愛情/2013」「ラブストーリーズ コナーの涙/2013」「間奏曲はパリで/2013」のイザベル・ユペール。
シャルリにジュール・ベンシェトリ。
看護師に「ミュンヘン/2005」 「ぼくを葬る/2004」「明日へのチケット/2005」「華麗なるアリバイ/2007」「家の主たち/2012」「ローマに消えた男/自由に乾杯!/2013」「サンローラン/2014」のヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。
スタンコヴィッチにギュスタヴ・ケルヴェン。
マダム・ハミダに「ディーバンの闘い/2015」のタサディット・マンディ。
ジョン・マッケンジーに「ドリーマーズ/2003」「シルク/2007」「ファニーゲーム U.S.A./2007」のマイケル・ピット。
監督、脚本は「歌え!ジャニス・ジョプリンのように/2003」のサミュエル・ベンシェトリ。

愛に飢えた落ちぶれ女優と家庭の愛に飢えた少年。さえない自称写真家と何かわけあり気味の夜間勤務の看護士。フランスに不時着してしまったNASAの宇宙飛行士と、刑務所に収監中の息子を抱えるアルジェリア移民のマダム。ドラマは3つの物語が同時に進行する。
登場する人々の共通点は全員不安定で孤独。しかしそれぞれが偶然出会った相手との数日間で心の平安を取リ戻すといった趣でラストは爽やかだった。

宇宙服で団地のキッチンにいるジョン・マッケンジーの姿と、エクササイズ用の自転車をこぎすぎて骨折し、車椅子に乗るハメになった自称写真家のスタンコヴィッチが笑いを誘う。
マダム・ハミダのお土産のクスクス持参で、迎えに来たNASAのヘリコプターに乗り込む宇宙飛行士ジョンのラストは滑稽で最高。
コメディってほどのものではないが、全体的になんとなく可笑しくてほのぼのとした雰囲気を醸し出している。

ジョンとマダム・ハミダは言葉が全く通じないにも関わらず次第に心を通わせて行く。それはジャンヌとシャルリ、そして互いに惹かれ合うようになるスタンコヴィッチと看護師にも見て取れた。
本作は設定が可笑しくてちょっと趣の変わったドラマ。そういえばサミュエル・ベンシェトリの「歌え!ジャニス・ジョプリンのように」も風変わりなドラマだったのを思い出す。

シャルリ役のジュール・ベンシェトリは監督の息子で、フランスの名優ジャン=ルイ・トランティニャンの孫。
スタンコヴィッチを演じるギュスタヴ・ケルヴェンは予告編を見た時まさか?リュック・ベッソン?なんて思ったけど…むさ苦しいところがそっくり。
マイケル・ピット久しぶり!

シネ・リーブル池袋にて
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# by margot2005 | 2016-09-16 23:59 | フランス | Trackback | Comments(0)

「ティエリー・トグルドーの憂鬱」

「La loi du marché」…aka「Un homme」「The Measure of a Man」2015 フランス
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失業中のティエリーは新しい職を得るため研修を受けクレーン操縦士の資格を取る。しかし現場経験がないからと不採用になってしまう。ハローワークを訪れたり、スカイプで面接を受けたりするが中々仕事が見つからない。家のローンの支払いも困難な状態で、仕方なく銀行に金を借りに行く...

ティエリー・トグルドーに「ガスパール/君と過ごした季節(とき)/1990」「すべて彼女のために/2008」「君を想って海をゆく/2009」「母の身終い/2012」「友よ、さらばと言おう/2014」「小間使いの日記/2015」のヴァンサン・ランドン。
ティエリーの妻にカリーヌ・ドゥ・ミルベック。
ティエリーの息子にマチュー・シャレール。
ハローワークの担当者にイヴォ・オリ。
同僚に「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-/2013」のグザビエ・マチュー。
銀行員にカトリーヌ・サン・ボネ。
ダンス教師にノエル・メロ。
監督は「愛されるために、ここにいる/2005」「シャンボンの背中/2009」「母の身終い/2012」のステファヌ・ブリゼ。

邦題に付いている“憂鬱”。映画を見終わってこれほど憂鬱になった映画はあるだろうか?と自問した。原タイトルは“マルシェ(スーパーマーケット)の法”。

失職後なんとかマルシェの監視員の職を得たティエリーの仕事は、店の中を巡回したり監視カメラを覗いて万引きの現場を押さえることだった。そして不正は従業員の間でも起こる。万引する客や不正を犯す従業員の中には金に困った人や、家庭内に問題があったりする。現実問題としてティエリー自身、障害のある息子を抱えた上、家のローンの支払いに苦しんでいた。

ある日、店のクーポンを盗んで問いつめられたレジ係の女性が自殺してしまう。マルシェの店長と本社からやって来た人事担当者はことの成り行きを“誰の責任でもない。彼女自身の問題だ。と淡々と説明して終わりにする。しかしティエリー以下店の従業員はやるせない思いでいっぱい。それは一つ間違えば彼らにも起こりえることだから…。

少しでも金を得ようと、ティエリーは海辺にある思い出深い移動式住宅を6000万€で売りに出す。しかし買い手にたたかれ憮然となる。
文句も言わず障害者の息子を育てる優しい妻。ティエリーはただ穏やかに生きたいだけなのに理不尽なことばかり起こる日常にやるせなくなる。

ラスト、突然仕事を投げ出し店を出て行くティエリーの後ろ姿が脳裏に焼き付いて離れなかった。
何の盛り上がりもなく淡々と進むティエリーの日常を描いたドラマは見終わってホント憂鬱になった。
ヴァンサン・ランドンほど寡黙で憂鬱なキャラが似合う俳優は他に思い浮かばない。カンヌ映画祭で男優賞に輝いたのも頷ける。
切羽詰まった生活を送りながらも妻とダンス教室に通う姿がヨーロッパ人だなぁと感心する。それはドラマの中で一服の清涼剤のようだった。

ヒューマントラストシネマ渋谷にて
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# by margot2005 | 2016-09-14 22:22 | フランス | Trackback | Comments(0)

「きみがくれた物語」

「The Choice」2016 USA
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ノースカロライナ州の海沿いにある小さな町で暮らすトラヴィスは今だシングルで、父親が経営する動物病院を手伝いながら家庭を持った友人たちと気ままに過ごしている。そんなある日、彼の家の隣に若い女性ギャビーが引っ越してくる...

トラヴィスに「リンカーン/秘密の書/2012」「白鯨との闘い/2015」のベンジャミン・ウォーカー。
ギャビーに「殺し屋チャーリーと6人の悪党/2014」のテリーサ・パーマー。
シェップに「グローリー/明日への行進/2014」のトム・ウイルキンソン。
ステフに「96時間/2008」「96時間/リベンジ/2012」「96時間/レクイエム/2014」のマギー・グレイス。
モニカに「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々:魔の海/2013」のアレクサンドラ・ダダリオ。
ライアンに「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間/2013」のトム・ウェリング。
監督は「TAKING CHANCE/戦場のおくりびと/2009」のロス・カッツ。
原作は「きみに読む物語/2004」「最後の初恋/2008」「親愛なるきみへ/2010」「一枚のめぐり逢い/2012」のニコラス・スパークス。

出会いは最悪だった二人が恋に落ちて結婚し二人の子供が生まれる。しかしながらある夜、幸せいっぱいの夫婦に突然不幸が訪れる。ギャビーが自動車事故に遭い意識不明の重体になったのだ。やがて悲しみに暮れるトラヴィスに課せられた選択は、生命維持装置からギャビーを解放するかどうかというものだった。
ギャビーは3ヵ月を超えての延命措置を拒否する書類にサインしていた。しかしトラヴィスはギャビーが逝ってしまうことに耐えられなかった。

結末はわかりながらもドラマに惹き付けられた。ニコラス・スパークス映画は登場する景色が素晴らしく美しくてドラマを盛り上げる。今回舞台となった海沿いのノースカロライナの景色はやはり美しい!の一言。海辺、ヨット、恋人たち、そして愛犬。この愛犬が実に可愛くて犬好きにはたまらないかも知れない。

公開されたニコラス・スパークス映画は「メッセージ・イン・ア・ボトル/1999」以来全て見ている。「きみに読む物語/2004」が最高傑作かも知れないが、私的には「「親愛なるきみへ」のレビューにも書いたように「メッセージ・イン・ア・ボトル」が好き。

都内では8月13日の公開で1ヶ月たった今でも上映していて、やはり評判良いのかな?とかなり迷いながらも見に行ってしまった(渋谷のミニシアターのみで公開)。
今回久しぶりにシアターで見たスパークス映画は中々素敵だった。

ベンジャミン・ウォーカーって「リンカーン/秘密の書」のイメージがとても強くてラヴ・ロマンス映画は想像できなかったが、はからずも恋する男が似合っていてナイス・キャスティング。
テリーサ・パーマーはクリステン・スチュワートにそっくりと思ったが、やはりそうらしい。

渋谷シネパレスにて
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# by margot2005 | 2016-09-13 23:20 | MINI THEATER | Trackback | Comments(0)

「イレブン・ミニッツ」

「11 minut」...aka「11 Minutes」2015 ポーランド/アイルランド
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ポーランド、ワルシャワを舞台にP.M.5時からP.M.5時11分の日常を描いた群像サスペンス・ドラマ。

映画監督リチャード・マーティンに「ベルファスト71/2014」のリチャード・ドーマー。
アンナ・ヘルマンにパウリナ・ハプコ。
アンナの夫にヴォイチェフ・メツファルドフスキ。
ホットドッグ屋の主人に「カティンの森/2007」「故郷よ/2011」「ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー/2011」のアンジェイ・ヒラ。
バイク便の男に「イーダ/2013」のダヴィッド・オグロドニック。
登山家(女)に「ハミングバード/2012」のアガタ・ブゼク。
登山家(男)にピョートル・グロヴァツキ。
画家にヤン・ノヴィツキ。
救命隊のドクターにアンナ・マリア・ブチェク。
犬を連れた女にイフィ・ウデ。
元ボーイフレンドにマテウシュ・コシチュキェヴィチ。
少年にウカシュ・シコラ。
監督、製作、脚本は「アンナと過ごした4日間/2010」「エッセンシャル・キリング/2010」のイエジー・スコリモフスキ。

教会の鐘がP.M.5時を告げるポーランド、ワルシャワの街。
一人の男が家を飛び出し妻がいるホテルへと向かう。彼の妻アニャは女優で映画監督と会う予定だった。アニャの夫は嫉妬深く、映画監督は女好き。ホテルの前ではホットドッグ屋の主人が店を開いている。ホットドッグ屋の息子であるバイク便の男は配達に行った家の人妻と情事に耽るが夫が帰宅したため慌てて家を飛び出す。
その他、公園で元ボーイフレンドに預けていた愛犬を引き取る女、ホテルでポルノを見ながらセックスをする登山家のカップル、質屋に強盗に入るが失敗に終わる少年、河原でスケッチをする画家、急病患者の家に急行する救命隊のドクターなどなど、全く接点のない人々の日常が次々とスクリーンに映しだされる。

ドラマは5時から5時11分の間を描いている。それぞれの人物の日常は11分毎に描かれ、5時から11分後に全ての人物が集結してラストを迎える。あのラストには呆然となる。
もちろんドラマに台詞はあるけど、スタイリッシュな映像が物語る作品。ラストのスローモーションは圧巻。

ビルの谷間を低空で飛行する飛行機はアメリカの同時多発テロ(9:11)を連想してしまうし、何人かの人物が空を見上げ、”何かを見た!と主張する場面も…。彼らは低空飛行する飛行機のことを言っていたのだろうか?それとも他に何かを見た?

河原で写生をする画家のキャンパスにいきなりできた黒いシミや、登山家のカップルがいるホテルの部屋に突然飛び込んできた鳩など、不気味なシーンを絡めて描くのはあのラストにつなげるため?と頭の中に疑問がよぎる。
「エッセンシャル・キリング」や「アンナと過ごした4日間」のイメージが強烈なイエジー・スコリモフスキ。本作は全く趣の違う作品でびっくさせられた。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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# by margot2005 | 2016-09-08 23:53 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「神様の思し召し」

「Se Dio vuole」…aka 「God Willing」2015 イタリア
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天才心臓外科医トンマーゾは腕は良いが傲慢な性格のせいで病院のスタッフに煙たがられている。ある日、医大生の息子アンドレアから“神父になる!”と告白され呆然となる。やがてあることをきっかけに、アンドレアがその気になったのはカリスマ神父ピエトロのせいと確信する。そして神父の身辺を調査した結果、刑務所帰りの前科者であることが判明。トンマーゾはピエトロの正体を暴くため心臓外科医の身分を偽って神父に接近する...

トンマーゾに「赤いアモーレ/2004」のマルコ・ジャリーニ。
ピエトロに「トランスポーター2/2005」「恋するローマ 元カレ/元カノ/2009」「われらの子供たち/2014」のアレッサンドロ・ガスマン。
カルラに「息子の部屋/2001」「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ/2005」「モンテーニュ通りのカフェ/2006」「モリエール 恋こそ喜劇/2007」のラウラ・モランテ。
ビアンカにイラリア・スパダ。
ジャンニにエドアルド・ペッシェ。
アンドレアにエンリコ・オティケル。
監督、脚本はエドアルド・ファルコーネ。

暇を持て余しボランティア活動に励むアル中の妻カルラ。娘のビアンカはお気楽で夫のジャンニは冴えない不動産屋。トンマーゾの唯一の希望は医大生の息子アンドレアの将来。しかしそのアンドレアが突然神父になると宣言する。医者を継いでくれるとばかり思っていたのに…。
子供は決して親の思いどうりにはならないことを、自己中で傲慢な男が身を持って体験することになる。

カトリックの本山があるローマは歩いていても普通に神父や修道女の姿を見かける。バチカン周辺では尚更のこと。“神などいない!”と豪語するトンマーゾや、ビアンカが弟アンドレアの聖書に無中になる様を見て可笑しかった。

“神などいない!人々を救うのは医者だ!”と力説する心臓外科医がひょんなことからカリスマ神父と出会う。しかし医者も病気は治せても人生を修復することはできない。方法は異なるが医者も神父もそれぞれ人を救う立場にある。その二人が互いに歩み寄り、認め合うコメディ・ドラマは痛快で見応えがあった。
しかしながらあの梨が落ちるシーンのラストが非常に気になる。

トンマーゾが住むマンションのバルコニーの真後ろにサンタンジェロ城が見え、その後ろにライトアップされたサンピエトロ寺院が姿を見せる。あのロケーションは美し過ぎてスゴい。きっと超高級マンションに違いない。以前見たフランス映画で、バルコニーから凱旋門が見えるアパルトマンが登場していた。歴史のあるヨーロッパの街中にそびえるスーパー級に有名な建物の側に建つマンションってやはりセレヴの家?
アレッサンドロ・ガスマンが神父なんて?と思ったけど、意外にハマっている。

新宿シネマカリテにて
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# by margot2005 | 2016-09-07 22:59 | イタリア | Trackback(2) | Comments(0)

「栄光のランナー/1936ベルリン」

「Race」2016 カナダ/ドイツ
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1934年のアメリカ合衆国。貧しい家庭に生まれたジェシー・オーエンスは高校時代に陸上で驚異的な記録をだしオハイオ州立大学に進学する。そして名コーチ、ラリー・スナイダーと出会い、彼の指導の下さらなる記録を打ち出して行く。
一方でアメリカオリンピック委員会の委員長エレミア・マホニーと、メンバーであるアベリー・ブランデージ(後のIOC/国際オリンピック委員会の会長)が議論を闘わせベルリン・オリンピックに参加するか否かの投票を行う。そして投票の結果は参加に決まる。
しかしアメリカ国内では、人種差別を打ち出しているナチスに反対してオリンピックをボイコットすべきだという世論が高まっていた..

ジェシー・オーエンスに「グローリー/明日への行進/2014」のステファン・ジェームズ。
ラリー・スナイダーに「幸せのセラピー/2007」「モンスター上司/2014」のジェイソン・サダイキス。
ルース・ソロモンにシャニース・バントン。
アベリー・ブランデージに「ハイ・ライズ/2015」ジェレミー・アイアンズ。
エレミア・マホニーに「ニューヨーク 冬物語/2014」のウィリアム・ハート。
レニ・リーフェンシュタールに「ブラックブック/2006」「ワルキューレ/2008」のカリス・ファン・ハウテン。
カール・ロングに「クラバート - 謎の黒魔術/2008」「愛を読むひと/2008」「戦火の馬/2011」のデヴィッド・クロス。
ヨーゼフ・ゲッベルスにバーナビー・メッチェラート。
監督、製作は「ゴースト&ダークネス/1996」「リーピング/2007」のスティーヴン・ホプキンス。

ジェシーには恋人ルースと二人の間に生まれた女の子がいる上、両親にも仕送りをしなければならず、大学生活は困難極まるものだった。そんなジェシーの境遇を知ったコーチは、さらに記録を伸ばすなら援助をしようと持ちかける。
ジェシーとコーチ、ラリー、そしてジェシーとドイツ人陸上選手カール・ロングの人種を超えた友情が素晴らしい。ナチスの宣伝大臣ゲッベルスとドイツ人TVプロデューサー、リーフェンシュタールの密かなる闘いも痛快だった。

ジェシー・オーエンスのコーチを演じるジェイソン・サダイキスの映画はコメディしか見たことがないが、シリアスな役柄も中々似合っている。
ジェレミー・アイアンズのアベリー・ブランデージも貫禄たっぷりでナイス・キャスティング。

ジェシー・オーエンスという名前はなんとなく聞いたことがある。でも本作を見て、偉大なる記録を持つ陸上選手であり、さらにベルリン・オリンピックで地元ドイツ人選手に打ち勝ち、あのヒトラーを怒らせた人でもあることを知った。
ジェシー・オーエンスはベルリン・オリンピックで4個の金メダルを獲得したが、帰国しても賞賛されることはなく、長い間彼の業績は認められなかったと言う。
原タイトルの“RACE/競争と人種二つの意味がある”が意味深い。

ドイツでもベルリン・オリンピック開催の年にはナチスによる人種差別が始まっていたため、出場予定だったアメリカ代表のユダヤ人リレー選手は走れなくなる。そこでリレー選手の代わりにジェシー・オーエンスが走り優勝したというからスゴい。
このような史実があったなんて全く知らなかったのでとても興味深く見ることができた。
オリンピック・イヤーにタイムリーに公開されたジェシー・オーエンスの実話ドラマは感動を呼ぶ。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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# by margot2005 | 2016-09-05 23:41 | MINI THEATER | Trackback(1) | Comments(0)

「太陽のめざめ」

「La tête haute」…aka「Standing Tall」2015 フランス
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フローランス判事は母親に育児放棄された6歳のマロニーを保護する。やがて10年の時が経過し16歳になったマロニーは母親の愛を得られず心も行動も荒れ果てている。ある時、無免許運転で捕まったマロニーと再会したフローランス判事は、かつて不良少年だったヤンにマロニーの教育係を命じる...

フローランス判事に「ラブ・トライアングル 秘密/2004」「神様メール/2015」のカトリーヌ・ドヌーヴ。
マロニーにロッド・パラド。
ヤンに「裏切りの闇で眠れ/2006」「引き裂かれた女/2007」「君のいないサマーデイズ/2010」「最後のマイウエイ/2012」のブノワ・マジメル。
マロニーの母親に「恋は足手まとい/2005」「ダニエラという女/2005」「風にそよぐ草/2009」「ゲンズブールと女たち/2010」「漆黒の闇で、パリに踊れ/2012」「ラブバトル/2013」「愛の犯罪者/2013」のサラ・フォレスティエ。
テスにディアーヌ・ルーセル。
クロディーヌにエリザベート・マゼヴ。
監督は「プレイヤー/2012」「ミス・ブルターニュの恋/2013」「ターニング・タイド 希望の海/12013:出演」のエマニュエル・ベルコ。

マロニーはヤンに連れられて大自然の中にある更正施設に入所する。そこで手紙を書く練習をしたり、仕事の訓練を受けたりしながら、学校に再入学するための生活を送り始める。しかし突然いらいらして暴れ出したり、施設の少年たちと喧嘩をしたりと全く反省する気配がない。そんなある日、施設の指導員クロディーヌの娘テスと出会う。徐々にテスに惹かれて行くマロニー。そしてテスもマロニーを愛するようになる。

マロニー役のロッド・パラドはもちろんのこと、ヤンを演じたブノワ・マジメルが好演している。かつてワルだった自身がマロニーを救えるのかと苦悩する姿が素晴らしかった。
ブノワ・マジメルは今まで鑑賞した映画の中でダントツに演技が光る。
判事役のカトリーヌ・ドヌーヴは相変わらず貫禄たっぷり。悩むヤンを支え、信頼する姿も素晴らしい。
自分勝手なシングル・マザー役のサラ・フォレスティエがぴったりの配役。

マロニーもラストではもちろんまともな人間に成長するわけだが、不良少年がそう簡単に更正するわけがない。父親はいないし、母親から疎まれれば子供は反撥するしか方法がないに決まっている。
自分のことしか考えていない実の母親より、判事と教育係のヤンの方がマロニーの将来を思っている。母親を愛しているマロニーが気の毒でならなかった。
父親を知らないマロニーが信頼を寄せるようになったヤンに“Jet'aime!”と言うシーンに胸を打たれる。大ラスの判事とマロニーのシーンはとても爽やかだった。

シネスイッチ銀座にて
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# by margot2005 | 2016-09-04 21:31 | フランス | Trackback | Comments(0)

「ハートビート」

「High Strung」2016 USA/ルーマニア
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プロのバレエダンサーを目指しニューヨークへやって来たルビー。ルームメートのジャジーとも意気投合しレッスンに励む日々。そんなある日、地下鉄の駅でヴァイオリンを演奏する青年ジョニーと出会う。英国人の彼はグリーンカードを得るため必死で頑張っていたが、男に絡まれたルビーを助けるうち大事なヴァイオリンを盗まれてしまう...

ルビーにキーナン・カンパ。
ジョニーにニコラス・ガリツィン。
ジャジーに「エクス・マキナ/2015」のソノヤ・ミズノ。
カイルにリチャード・サウスゲート。
ダンス教師オクサナに「ある日どこかで/1980」のジェーン・シーモア。
ダンス教師クラムロフスキーに「レイダース/失われたアーク《聖櫃》/1981」「プロヴァンスの恋/1995」のポール・フリーマン。
校長マルコヴァに「パッション/2004」のマヤ・モルゲンステルン。
監督、脚本、製作は「マーリー2 世界一おバカな犬のはじまりの物語/2011」のマイケル・ダミアン。

クラシック・バレエは得意ながらコンテポラリー・ダンスがだめなルビー。一方でルームメートのジャジーは夜遊びの影響で遅刻ばかり。ある時、校長マルコヴァに呼ばれ、“このままじゃ二人とも奨学金がでなくなります!”と脅される。そしてジョニーは祖父から貰ったヴァイオンを盗まれた上、グリーンカード詐欺にあっていた。

いきなり歌い出すミュージカルのように、これはいきなり踊り出すダンス映画。キーナン・カンパを始めとした、ダンサーたちが素晴らしい!の一言!
「エクス・マキナ」では一言も喋らなかったソノヤ・ミズノ。本作では全く違った印象で最初誰だかわからなかった。でも出演していることは知っていたので、エンドクレジットで確認した次第。もう一人エンドクレジットで知ったのはジェーン・シーモア。彼女の姿を見るのは「ある日どこかで」以来。やはり全く印象が違っていてこちらは35年の年月を感じる。
英国出身のニコラス・ガリツィンがスゴくキュート。
“音楽とバレエ、ヒップホップダンスがジャンルを超えて融合する青春ラブストーリー”はとっても素敵だった。今一度見たい!

新宿シネマカリテにて
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# by margot2005 | 2016-08-29 23:32 | MINI THEATER | Trackback(1) | Comments(2)